解体工事業は新時代を迎えるか!?2014/02/11

 無から有を生む建設乃至は建築から中途で変更する増改築は建築か個別の建設業に納まっていたが、有るものを解体する工事業は言わば日影の仕事だったと思われる。
 本当は増改築も専門性の高い独立した建設業であるが事例は多岐に亘る。基本は古い一部分を解体して、新たな造作をするのが増改築だ。個人住宅の水周りは好不況に関わらず特に需要が多いと思う。昔は営繕仕事、雪隠大工と呼ばれて低く見られた時代が長く続いていた。大手ハウスメーカーの営業が効を奏して今は大きな産業に育っている。
 話を戻すと、解体工事が日影の身だったのは工事費が余分にかかるからであった。更地に新築なら易しいことであるが、今の時代は宅地開発が進み、新しい開発はもう当分ないだろう。大手の開発会社もハウスメーカーに吸収された。今、建っている建物を解体して更地にする仕事が脚光を浴びる時代が来たのだ。特に建物、構築物の強靭化が追い風になりそうだ。
 ただ、気がかりなことがある。会計と税法にリンクして審議できないかと思う。何分、解体工事費は有ったものが無くなる費用である。会計仕訳で修繕費ならいいが、資本的支出に加算されることがある。これを改築工事費に積算するのが今の実務である。いつも判定に悩み、疑問に思う。
 
WEB版建通新聞から転載。1/23の同紙の続報である。

 国土交通省は、1971年から続けてきた28業種の建設業許可区分を43年ぶりに改め、29番目となる「解体工事」の業種新設を決めた。中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会が1月に打ち出した「業種区分の見直し方針」を踏まえての対応。今通常国会で建設業法を改正し、早期の業種新設につなげる構えだ。
 基本問題小委は、今回の見直しに当たって①規制強化の影響や社会的負担を考慮しても「適正な施工の確保」や「社会的課題」に顕著な効果が見込まれる②「技術が専門化」し、対応する「技術者資格等」も設定できる③ある程度の市場規模があり、今後も「工事量の増加」が見込まれる―との前提条件を付けた。
 それらに照らし、実務経験などに基づく事故防止効果や環境負荷低減効果が期待でき、現行の資格も普及していて、増え続ける老朽建築物の更新需要に欠かせない「解体工事」については、可能な限り早期に業種区分を新設するよう提言。足場の組み立てや杭打ちなどを包含した「とび・土工・コンクリート工事」からの分離独立が妥当と結論付けた。
 全国解体工事業団体連合会(全解工連)の髙山眞幸会長は業種新設の決定を受け、団体設立以来20年にわたる「業種」の確立と「解体工事施工技士」の普及に向けた活動を回想しつつ、東日本大震災での復旧対応なども挙げて「国民や国に解体工事業とその資格が認められた結果だ」との認識を示している。
 また、とび・土工・コンクリート工事からの分離独立で「解体工事業者が把握できるため、会員企業以外にも情報発信が可能」と業界全体の底上げ効果を指摘するとともに、「会員企業のより一層の切磋琢磨(せっさたくま)が必要だ」と気を引き締める。
 安全対策に抜かりはないか、分別・リサイクルやアスベストの飛散防止措置は万全か、社会保険の加入を徹底できるのか、十数階建てまでとされる専業者の解体施工技術をどこまで伸ばせるのか―。許可業種となる「解体工事」には外部の耳目がさらに集まる。業界には今まで以上の取り組みが求められる。
 一方、国交省は約1万7000人に上る解体工事施工技士の活用の在り方や、公共発注の解体工事をめぐる入札参加資格審査上の取り扱いなどについて、具体的な方向性を早く明確にすべきだろう。
 解体工事の業種新設は、いまあるものを取り除く行為が、新しいものを造る建設プロセスの重要な構成要素であることを認めた画期的な判断であり、業を営む者にとっては許可の下での独り立ちが使命となった。
 建設業のレギュラーメンバーとして、名実ともにその役割を果たし、社会から確かな信頼と評価を得るためにも、業界と国交省は将来を見据えた解体工事の在るべき姿を描かなくてはならない。

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