産経新聞の主張「尖閣発言 国益損なう大使は更迭を」2012/06/09

 WEB版産経新聞の主張(他紙では社説)の表題である。

 異論はない。そう思う。これから大きな波紋を広げそうな気配である。
以下に全文をコピー&ペーストする。

「丹羽宇一郎駐中国大使が東京都の尖閣諸島購入計画について「実行された場合、日中関係に深刻な危機をもたらす」との見解を英紙に述べたことが明らかになった。

 日本固有の領土である尖閣諸島を守り、実効統治を強めるための計画を真っ向から否定する発言は国益に反しよう。中国による不当な領有権主張を後押ししかねず、更迭すべきだ。

 藤村修官房長官は「個人的な見解であり、政府の立場を表明したものではない」と否定した。外務省は「政府の立場とは異なる」と丹羽氏に注意し、丹羽氏は「大変申し訳ない」と謝罪した。

 しかし、それで済まされる問題ではない。丹羽氏は先月、訪中した横路孝弘衆院議長と習近平国家副主席の会談に同席した際にも、石原慎太郎東京都知事の「尖閣購入」発言を国民の大半が支持していることに「日本の国民感情はおかしい」などと述べている。

 尖閣購入資金として、都へ寄せられた10億円を超す善意の寄付を貶(おとし)めるものだ。外務省は丹羽大使を召還し、一連の発言の詳しい経緯を問いただした上で、厳しく処分すべきだ。

 丹羽氏は伊藤忠商事の社長や相談役を務め、中国政府とのパイプを持つ財界人として、菅直人前政権下の平成22年6月、初の民間出身の駐中国大使に起用された。

 だが、中国に過度に配慮した丹羽氏の発言はしばしば問題になった。赴任前のパーティーで中国の軍事力増強に触れ、「大国としては当然のことといえば当然かもしれない」と述べた。赴任後も、役割を終えた対中政府開発援助(ODA)を関係改善のために「続けるべきだ」と主張した。

中国は強大な軍事力を背景に尖閣周辺の領海侵犯などを繰り返している。石原知事の尖閣購入発言以降でも、中国の漁業監視船が2度、接続水域に入った。

 先月の日中首脳会談で、温家宝首相は尖閣について譲れない国家利益を意味する「核心的利益」という言葉を使い、尖閣奪取の意図をうかがわせた。日本の領土が危険にさらされかねない時期だ。丹羽氏は大使として国益を踏まえ、中国政府に耳の痛いこともはっきり言わねばならなかった。

 「政治主導」と「脱官僚」を印象づけようとした丹羽氏の起用が失敗だったことは明白である。民主党政権は反省が必要だ。」以上

更にWEB版産経では石原都知事の記者会見のやり取りも掲載。関係する部分を転載する。

--丹羽中国大使が、都の尖閣購入が実行された場合、日中関係に問題を起こすと発言し、さらに、習近平国家副主席との会談に同席した際に、「日本の国民感情はおかしい」「日本は変わった国」と発言していたが

 「あいつが変わってるんだよ。だいたいだな、伊藤忠の社長ごときものをだね、そんなものをね、この日中関係のこういう大事な時に、大使として送る方が間違っている。だいたい、尖閣の問題があったときに、例の衝突事件のときかな、真夜中にいびりで何回呼び返され、そのたびに『はいはい』と、夜中の3時に相手の外務省なんのつもりか分からないけど、出ていくのはばかだよ。おれは寝てるからって、日が変わってからにしろって言ったらいい。失敬千万だ、奴隷のごとく使われて。まあ、そんなもんだな、日本の外交官というのは」

 「昔、中江要介という、私が非常に親しくかわいがっていた青年、舞台のバレエの台本なんかやってて。この男もインテリゲンチアでましかとおもったら、中国大使になったらがらっと変わった。驚くほどものの考え方が変わった。とにかく、日米安保、日米関係は中国の障害なので、これをなくさないといけないと言い出して、外務省が非常に困惑して迷惑した。そういうなんか日本人が突然北京に誕生するというのも、不思議というか恐ろしいというか、相当なとこなんだな。どんな抑圧、どんな洗脳が行われているかは知りませんがね。少なくとも、日本を代表して北京にいるべき人物じゃないということだな」

 --東京都、都知事としてこの発言に対して抗議などする予定は

 「もう少し自分の国のこと勉強してものを言えと。じゃないと大使の資格ないよ、こんな奴は」

 丹羽駐中国大使が自分の母国日本を「変わった国」と発言していたようだ。愛知県生まれ、名大OBというので、丹羽氏の著作も読んだことがあり、誠実な人望家との印象があった。それが中国のことになるとどういうわけか心変わりするようだ。商社マンと違って、外交官は特権もあり、人から崇められることも多いだろう。これが人間性まで変えてしまうのか。
 卑近な例で引くと、山岳会で海外遠征で成功をおさめると、おかしなプライドが生まれて、人格が変わることがある。酸素吸いまくり、ポーターに荷物を預け、シェルパに導かれる登山に日本にはない高度以外の何の価値があろうか。こんな登山家でもメディアは囃すからのぼせるのだろう。
 愛知県にゆかりある人なので、まあ、これ位にしますが、目を覚ましてください。

ブログ「せと弘幸BLOG『日本よ何処へ』」でも反発が強い。
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52867272.html

 丹羽氏を友人と見立てて書いておきたい。
 これから全国に波及して行くと思う。せっかくの中国寄りの発言もかえって日本人の反発を招き、石原氏の行動を疑問視していた人まで、石原氏に賛意を呼ぶだろう。尖閣諸島購入資金のための寄付金も加速度的に増加するだろう。
 結局、丹羽氏は核心的利益が遠のいたことで中国からも嫌われ、当然に日本からも嫌われる。コメントには伊藤忠商事の関連するコンビニ「ファミリーマート」への抗議運動の書き込みまであるので、業績に影響が出れば、社内でも不適切な発言だった、とのそしりを逃れられないだろう。すると伊藤忠からも名誉ある地位を追われかねない。誰のための人生だったのか。夜郎自大的な発言を真摯に反省してください。

 日本国憲法は言論の自由を保障している。しかし、その結果は言った本人と関係者が負わなければならない。