研修・任意後見制度・契約について ― 2013/01/31
愛知会3Fにて18:00から20:00まで開催。公証人役場の公証人を講師に迎えての任意後見についての研修でした。渡された資料の統計でみてもまだ認知度が低い。任意後見監督人選任申し立て件数は平成22年度で602件、この10年間でも3390件という状況だ。任意後見契約締結の登記件数でも8904件と10000件に届かない。
一方、専門家等別就任件数と割合を見ると司法書士が10年間の合計で19983件、次いで弁護士の15876件、行政書士はその他に分類されているが、平成21年に統計に現れたばかりで、1500件未満。弁護士も司法書士も難関の国家試験ゆえに人数的に少ないことが足かせになって普及しないようだ。この点、行政書士は40000人を超える人数があり、認知度の高まりに連れて貢献してゆけると思われる。
さて、本題の任意後見は認知症になる前に任意後見契約をしていざに備えるもの。任意後見契約には公正証書を利用するため公証人は手続き面に精通して居る立場になる。
公証人役場のHPや家庭裁判所のHPにアクセスすれば詳細な情報が得られる。
裏話として、後見事務では銀行取引が大きなウェイトを占めるが、三菱東京UFJ銀行が一番うるさいそうだ。本部の法務部の頭が固いと批判的だった。
質疑応答の時間では近所のおばさんが成年被後見人と養子縁組された事例で相談中といういうのがあった。これは以前にも聞いたことがある。
今日の朝日新聞の朝刊にも「成年後見人の女 横領罪など起訴」の見出しがあった。名古屋市中川区のN容疑者が成年後見人の立場を利用しておばの預金4400万円を横領したというのも。さらに親族2人と共謀し、N容疑者がおばの養子となったとする偽の養子縁組届けを出したとされる。おばの財産を奪う目的と見られたようだ。
これには養子縁組制度の甘さが指摘されている。
ブログ「相続プラザ」から
養子縁組は、婚姻と同様に成立のために要式行為が求められている。しかし、当事者が養子縁組届けの書名欄に署名し、所定の届出がなされれば足りる(戸籍法 66 条)。
また、役所の戸籍吏は形式的な審査権しか持たないので、縁組の意思を確認する権限や義務はない。その署名が代署であっても有効に成立する(判例)ので、実質的には当事者の一方のみの行為でもなしうる。
民法は証人 2 名の署名を必要としているが(739 条 2 項 799 条)、届出用紙の証人欄に署名があれば足りる。証人にも、養親および養子の縁組意思を確認することは求められていない。証人は、届出の真正に対する証明力を保障する趣旨で定められてい
るが、養子縁組無効確認訴訟で「証人が当事者に会ったこともない」との事実が認定されたとしても、結論を左右することにはならない。
つまり、形式的要件の整った養子縁組届けが提出されて、これが受理されてしまえば、当事者の「自署」がなくとも、その名の通りの証人がいなくとも、養親および養子に養子縁組の意思があったことが推定される。そして、受理されたその日から法律上の効力が生じる。その結果、養子は法律上の相続人として相続を迎えることになる。
このような事態となりうる現在の養子縁組の手続きは、遺言制度と比較してもあまりに脇が甘すぎる。
認知症となり成年後見人が必要な場合に遺言するには、医師 2 人以上の立会が必要である。医師は遺言者が遺言する時、精神上の障害や能力に問題はなかったことを付記することになっている(民法973条)。
相続と同じ効果を持つ養子縁組の手続きなのに、現状はあまりに無防備すぎる。そのため、冒頭のケースのような高齢者の財産を狙った養子縁組の悪用の危険性があとをたたないことになる。
こうした事態を防ぐため、平成 20 年 5 月 1 日から届出の際の「本人確認」が法律上のルールとなった。窓口で運転免許証・パスポート・住民基本台帳など顔写真のある証明書を 1 点提示する。または、国民健康保険証・国民年金手帳・恩給証書・印鑑証明書など2 点以上を提示する。これにより、氏名・住所・生年月日を確認する。窓口で本人確認できない場合は、書類審査で受理決定したあと、届出人の住所地に通知書を発送することになった。それでも認知症の高齢者には通知書がわからない場合がある。その後、成年後見人が就任しても、養子縁組当時の被後見人の意思を確認することは不可能に近い。まして被後見人が亡くなってしまっていたら確認の仕様がない。
こうした事態を防ぐには、定期的に戸籍を入手してチェックする必要があるが、身寄りのない高齢者は誰がチェックするのか。戸籍の取得も厳しくなっている。
心配な人は、養子縁組の届出があっても受理しないで下さいという主旨の「不受理届」を出しておくという予防策がある。以前はその有効期間は6 ヶ月であったが、平成 20 年 5 月 1 日からは有効期間の定めがなくなった。ただし、申出や取下げは必ず本人が窓口にいく必要がある。しかし、多くの人はまさか自分が狙われているとは思っていないし、こうした制度があることを知らない。
こうしてみて来ると、依然として養子縁組手続きの脇の甘さが残っていて、悪用される危険性はなくならないと思われる。
以上
WELの事例では
成年被後見人との養子縁組は常に有効でしょうか?
aquila1129
2011年3月23日(水) 22:39
成年被後見人(80歳男性未婚)と内縁の妻の兄の子(60歳女性)の養子縁組が成立しました。法定後見人は第三者がなっていますが、養子縁組の届出について事前にその女性から何も聞かされてなく、受理された後に聞かされたようです。
被後見人は、中から重度の認知症で入院しています。判断能力は不十分だと思われます。内縁の妻の兄の子は「姪」のような立場で、被後見人が若い頃からかわいがっており、被後見人に実子がないこともあってか、金銭や高価なものの授受が以前からあったようです。後見人は、養子縁組によりその女性が相続人となってしまったことに危機感を抱いています。
そこで質問です。養子縁組は後見人が取り消すことができない身分行為だと思いますし、役所での手続き上の問題はなかったと思います。しかし、判断能力が不十分な被後見人の財産を狙ったようにみえる今回の養子縁組は有効なのでしょうか?もし、要件を満たさないため有効でないと考えられるなら、どのように対処できるのでしょうか?
ちなみに、私は、後見人から相談を受けた市役所の高齢者福祉担当者です。
結論からいえば、訴訟を提訴して裁判所の判断を仰ぐことになります。
養子縁組の場合、民法の規定が準用され本人の意思表示があれば良いとされていますが、婚姻のように日常考えられる行為といえず、本人が本当に親子関係となることを理解しているのか、本人の推定相続人となり本人の資産を相続することができる者になりえることを理解しているのか、など後見人からみても判断が難しいことがあると思います。
裁判所の判断で、養子縁組に至る経緯が不自然で本人の養子縁組の意思を認められないとした判例がいくつかありますので、法律関係者とご相談されると良いでしょう。
[2]
aquila1129
2011年3月24日(木) 7:49
支援者 様
コメントありがとうございました。
昨日遅くに相談を受けましたが、ほかに相談できる人がいなく、ネットや参考書で調べていました。「被後見人は、ある一定の要件を満たしていれば、婚姻や養子縁組などを単独でできる。」という文章を、いくつかのサイトで見て、一定の要件とは何だろう?と疑問に思っていました。
養子縁組の経緯、本人の意思・理解度が判断のポイントですね。
さっそく地域包括支援センターの方を介して弁護士に相談してみようと思います。
*初めてこの掲示板を利用させていただきました。こんなに早く専門的な立場でコメントをいただけ、とても助かりました。
以上
任意後見のテーマとずれてしまった。しかし、信頼のおける人間でも財産の額、性格まで知られると、とんでもない策を弄するのは人間の業だろう。長生きはリスクであるとつくづく思わざるを得ない。任意後見においては契約=合意であり、信頼が第一となる。
一方、専門家等別就任件数と割合を見ると司法書士が10年間の合計で19983件、次いで弁護士の15876件、行政書士はその他に分類されているが、平成21年に統計に現れたばかりで、1500件未満。弁護士も司法書士も難関の国家試験ゆえに人数的に少ないことが足かせになって普及しないようだ。この点、行政書士は40000人を超える人数があり、認知度の高まりに連れて貢献してゆけると思われる。
さて、本題の任意後見は認知症になる前に任意後見契約をしていざに備えるもの。任意後見契約には公正証書を利用するため公証人は手続き面に精通して居る立場になる。
公証人役場のHPや家庭裁判所のHPにアクセスすれば詳細な情報が得られる。
裏話として、後見事務では銀行取引が大きなウェイトを占めるが、三菱東京UFJ銀行が一番うるさいそうだ。本部の法務部の頭が固いと批判的だった。
質疑応答の時間では近所のおばさんが成年被後見人と養子縁組された事例で相談中といういうのがあった。これは以前にも聞いたことがある。
今日の朝日新聞の朝刊にも「成年後見人の女 横領罪など起訴」の見出しがあった。名古屋市中川区のN容疑者が成年後見人の立場を利用しておばの預金4400万円を横領したというのも。さらに親族2人と共謀し、N容疑者がおばの養子となったとする偽の養子縁組届けを出したとされる。おばの財産を奪う目的と見られたようだ。
これには養子縁組制度の甘さが指摘されている。
ブログ「相続プラザ」から
養子縁組は、婚姻と同様に成立のために要式行為が求められている。しかし、当事者が養子縁組届けの書名欄に署名し、所定の届出がなされれば足りる(戸籍法 66 条)。
また、役所の戸籍吏は形式的な審査権しか持たないので、縁組の意思を確認する権限や義務はない。その署名が代署であっても有効に成立する(判例)ので、実質的には当事者の一方のみの行為でもなしうる。
民法は証人 2 名の署名を必要としているが(739 条 2 項 799 条)、届出用紙の証人欄に署名があれば足りる。証人にも、養親および養子の縁組意思を確認することは求められていない。証人は、届出の真正に対する証明力を保障する趣旨で定められてい
るが、養子縁組無効確認訴訟で「証人が当事者に会ったこともない」との事実が認定されたとしても、結論を左右することにはならない。
つまり、形式的要件の整った養子縁組届けが提出されて、これが受理されてしまえば、当事者の「自署」がなくとも、その名の通りの証人がいなくとも、養親および養子に養子縁組の意思があったことが推定される。そして、受理されたその日から法律上の効力が生じる。その結果、養子は法律上の相続人として相続を迎えることになる。
このような事態となりうる現在の養子縁組の手続きは、遺言制度と比較してもあまりに脇が甘すぎる。
認知症となり成年後見人が必要な場合に遺言するには、医師 2 人以上の立会が必要である。医師は遺言者が遺言する時、精神上の障害や能力に問題はなかったことを付記することになっている(民法973条)。
相続と同じ効果を持つ養子縁組の手続きなのに、現状はあまりに無防備すぎる。そのため、冒頭のケースのような高齢者の財産を狙った養子縁組の悪用の危険性があとをたたないことになる。
こうした事態を防ぐため、平成 20 年 5 月 1 日から届出の際の「本人確認」が法律上のルールとなった。窓口で運転免許証・パスポート・住民基本台帳など顔写真のある証明書を 1 点提示する。または、国民健康保険証・国民年金手帳・恩給証書・印鑑証明書など2 点以上を提示する。これにより、氏名・住所・生年月日を確認する。窓口で本人確認できない場合は、書類審査で受理決定したあと、届出人の住所地に通知書を発送することになった。それでも認知症の高齢者には通知書がわからない場合がある。その後、成年後見人が就任しても、養子縁組当時の被後見人の意思を確認することは不可能に近い。まして被後見人が亡くなってしまっていたら確認の仕様がない。
こうした事態を防ぐには、定期的に戸籍を入手してチェックする必要があるが、身寄りのない高齢者は誰がチェックするのか。戸籍の取得も厳しくなっている。
心配な人は、養子縁組の届出があっても受理しないで下さいという主旨の「不受理届」を出しておくという予防策がある。以前はその有効期間は6 ヶ月であったが、平成 20 年 5 月 1 日からは有効期間の定めがなくなった。ただし、申出や取下げは必ず本人が窓口にいく必要がある。しかし、多くの人はまさか自分が狙われているとは思っていないし、こうした制度があることを知らない。
こうしてみて来ると、依然として養子縁組手続きの脇の甘さが残っていて、悪用される危険性はなくならないと思われる。
以上
WELの事例では
成年被後見人との養子縁組は常に有効でしょうか?
aquila1129
2011年3月23日(水) 22:39
成年被後見人(80歳男性未婚)と内縁の妻の兄の子(60歳女性)の養子縁組が成立しました。法定後見人は第三者がなっていますが、養子縁組の届出について事前にその女性から何も聞かされてなく、受理された後に聞かされたようです。
被後見人は、中から重度の認知症で入院しています。判断能力は不十分だと思われます。内縁の妻の兄の子は「姪」のような立場で、被後見人が若い頃からかわいがっており、被後見人に実子がないこともあってか、金銭や高価なものの授受が以前からあったようです。後見人は、養子縁組によりその女性が相続人となってしまったことに危機感を抱いています。
そこで質問です。養子縁組は後見人が取り消すことができない身分行為だと思いますし、役所での手続き上の問題はなかったと思います。しかし、判断能力が不十分な被後見人の財産を狙ったようにみえる今回の養子縁組は有効なのでしょうか?もし、要件を満たさないため有効でないと考えられるなら、どのように対処できるのでしょうか?
ちなみに、私は、後見人から相談を受けた市役所の高齢者福祉担当者です。
結論からいえば、訴訟を提訴して裁判所の判断を仰ぐことになります。
養子縁組の場合、民法の規定が準用され本人の意思表示があれば良いとされていますが、婚姻のように日常考えられる行為といえず、本人が本当に親子関係となることを理解しているのか、本人の推定相続人となり本人の資産を相続することができる者になりえることを理解しているのか、など後見人からみても判断が難しいことがあると思います。
裁判所の判断で、養子縁組に至る経緯が不自然で本人の養子縁組の意思を認められないとした判例がいくつかありますので、法律関係者とご相談されると良いでしょう。
[2]
aquila1129
2011年3月24日(木) 7:49
支援者 様
コメントありがとうございました。
昨日遅くに相談を受けましたが、ほかに相談できる人がいなく、ネットや参考書で調べていました。「被後見人は、ある一定の要件を満たしていれば、婚姻や養子縁組などを単独でできる。」という文章を、いくつかのサイトで見て、一定の要件とは何だろう?と疑問に思っていました。
養子縁組の経緯、本人の意思・理解度が判断のポイントですね。
さっそく地域包括支援センターの方を介して弁護士に相談してみようと思います。
*初めてこの掲示板を利用させていただきました。こんなに早く専門的な立場でコメントをいただけ、とても助かりました。
以上
任意後見のテーマとずれてしまった。しかし、信頼のおける人間でも財産の額、性格まで知られると、とんでもない策を弄するのは人間の業だろう。長生きはリスクであるとつくづく思わざるを得ない。任意後見においては契約=合意であり、信頼が第一となる。
研修・開発の許認可について ― 2013/01/31
国際会議場レセプションホールにて。講師には愛知県建設部建築担当局建築指導課職員を招いて、14時から開催。職員からは愛知県開発審査会基準局第16号の改正及び第19号制定についての解説を中心に受講した。行政書士からは実務を中心に詳細な解説が行われた。農地転用や市街化調整区域の開発行為などが話の中心で名古屋市の書士には余り縁のない業務と思われる。しかし、行政書士のある意味象徴的な仕事であるから話だけでも聞いておきたい。
ホールはほぼ満席に近い。多くは地方からの出席か。隣の席の人と話を交わしたが三河地方の人で不動産業と兼業であった。現在仕事は殆どないそうである。何らかの形で仕事のルートを持った人には集まってくるのかも知れない。要するにビジネスモデルの構築ということだろう。国際業務においても同じことで、特定の書士に集中して仕事が集まるようだ。つまりナンバーワンではなく、オンリーワンになれるか否か。その仕事なら、その相談なら、その方面の知識、人脈ならあの先生に訊け、と。
要するに都市計画法に準拠した手続きである。実務を通じて覚えるほかないな、との感想を抱く。いずれの業界でも食べてゆくには知恵が居る。
ホールはほぼ満席に近い。多くは地方からの出席か。隣の席の人と話を交わしたが三河地方の人で不動産業と兼業であった。現在仕事は殆どないそうである。何らかの形で仕事のルートを持った人には集まってくるのかも知れない。要するにビジネスモデルの構築ということだろう。国際業務においても同じことで、特定の書士に集中して仕事が集まるようだ。つまりナンバーワンではなく、オンリーワンになれるか否か。その仕事なら、その相談なら、その方面の知識、人脈ならあの先生に訊け、と。
要するに都市計画法に準拠した手続きである。実務を通じて覚えるほかないな、との感想を抱く。いずれの業界でも食べてゆくには知恵が居る。