顧客との契約益/日本基準の収益認識開発/企業会計基準委員会2015/04/18

WEB建設通信新聞(4/18付け)から

【IFRSとの融合見据え】
 日本の会計基準を定めている、企業会計基準委員会(小野行雄委員長)は国際会計基準(IFRS)の「顧客との契約から生じる収益」を踏まえ、日本基準でも収益認識基準の開発へ向けた検討に着手することを決めた。15日開いた金融庁の企業会計審議会部会で報告した。IFRSと日本基準のコンバージェンス(融合)の一環。大半の事業で工事進行基準を採用しIFRSを導入していない日本の建設企業にとって、日本基準でも収益の認識時期がIFRSと融合することで、変更の可能性を含め今後大きな関心事となりそうだ。
 IFRSの「顧客との契約から生じる収益」は、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が、それまでのIFRSの収益認識基準に代わる新たな基準として策定したもの。IFRSでは2017年1月1日以後開始する事業年度から適用されるが、早期適用も可能。IASBとFASBが、収益認識基準について共同で新たな会計基準を策定し、IFRSと米国会計基準が新たな収益認識基準を採用することで、グローバル基準になる。
 そのため、企業会計基準委員会もグローバルスタンダードになる収益認識基準について日本の会計基準も適合させなければ、日本の会計基準全体の品質に対し国際的疑念が起こる可能性があるとして、収益認識という重要分野で新たに包括的な会計基準づくりを検討することにした。具体的には、活動を休止していた収益認識専門委員会を再開し検討に着手する。
 日本の会計基準での収益認識は、企業会計原則で「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。ただし、 長期の未完成請負工事については、合理的な収益を見積もり、 これを当期の損益計算に計上することができる」としている。また個別基準として、 「工事契約に関する会計基準」が存在し、ゼネコン各社は1年超の工事については工事進行基準を、単年度工事では完成工事基準を採用するケースも多い。
 上場する建設業(176社)は日本の業種別IFRS任意適用企業が存在しない12業種の1つ。ただ日本の会計基準のうち建設業にとって重要な収益認識の時期や収益計上などの基準を、IFRSに融合させる基準が今後新たに策定されれば、建設企業も否応なく対応せざるを得ない状況になる。[ 2015-04-17 1面]
以上

建設業の会計基準もいよいよグローバル化に向けて対応を探り始めたニュースである。実際、海外で工事を請け負う日本企業もあるので悩ましいが国際会計基準にならざるをえないだろう。日本に進出した外資系建設会社は国際会計基準を採用する。国際とは欧米のことなので孤立を回避するためには対応することになる。