汗拭きを二枚も用意して仕事2019/07/31

 朝から猛暑、便乗の車を待つ間は緑陰を探した。風はほとんどなく、額から汗が滴る。それを見越してハンカチも2枚持った。そしてある地区の義母の入居施設に向かった。
 ある銀行の相談員として受けた家族関係の中の相談は深刻だった。実の父の後妻なので血のつながりはなくても姻族として面倒は見なければならない。財産がたくさんあれば先を見越して養子縁組など手抜かりなくやっておいたはず。そうでなければ父の死後の縁は薄い。かつ義理の母は認知症で施設に入居したものの財産整理が進まなかった。夫婦には地獄であった。姻族の悲哀である。
 相談をうけて最初に義母に会うと明るく愛想がよかった。長野市の出と自白されたので、善光寺とか山の名前を出すとみな反応された。遠い記憶は壊れていない。これなら任意後見が適当と思われた。医師の診断後の今日再会したが、結局診断は認知症であった。今も亡夫の死を認めていないとのことであった。
 それで法定後見の手続きを進めることとした。当の息子さんには書類の収集と書き方を指導し申し立てへの準備を進めてゆく。猛暑の中、かけづり回った1日である。9月にも申立て、審査を経て年内にも後見人が決まる。さすればあの夫婦の悩みも一段落することになる。

法務相談会(4回目)2019/07/09

 梅雨曇り、早朝の地下鉄に乗って朝食会の会場のホテルへ。早目に出たが7時を過ぎた。既にテーブルは80%くらいは埋まっていた。高級な食事をした後は恒例のスピーチである。今日のテーマは不動産の動向であった。
 興味深いのは民主党政権時代の2009年から2012年は地価も急落し、安倍政権になるまで全国的にマイナスだったこと。アベノミクスが始動すると東京圏と名古屋圏は軌を一にして上昇を開始、大阪圏は2017年に下落ゼロになり、地方圏も2019年になってようやく頭を出してきた。しかし、この数値はあくまでも平均値で、下がるところは下がっている。
 名古屋圏は駅前圏の開発が一段落、今は栄圏に移ってきた。御園座のタワービル、中心地の丸善はすでに更地、丸栄は取り壊し中、旧東海銀行の本店ビルも取り壊し中、中日ビルも営業を終えて近々のうちに取り壊す。リニア新幹線開通までに大規模な開発ラッシュが続く。

 興味深い話だったが次の予定があり、中座。名古屋市郊外に近い地銀支店の相談会に急いだ。ギリギリで間にあう。女性の支店長さんに挨拶後、すぐに相談者が入室された。
 1 義理の母(亡父の後添いだが養子縁組はしてない)の世話をするために法的な壁をどう解決できるか。すでに亡父の相続は済んでいるが、残された義母が心配という。あちこちであなたには世話をする資格がないという壁に当たったというのだ。姻族関係であり、法定後見の申立てはできる。義母の認知症がどの程度か、客観的に判断するために医師の診断が必須として材料集めを勧めた。
 2 父に代わって認知症の母の成年後見人に就任後、父が死亡。相続手続きを進めるに当たり特別代理人を申立てすることとなった。法定相続情報一覧図も作成済み。申立ての書類のチエックを依頼された。家裁のHPからダウンロードした様式にきちんと入力してあるので形式的に問題ない。
 3 昨年、夫が死亡し未亡人となった。相続は済んだものの2人の子どものうち娘が未婚で、派遣社員の身分が不安という。法的な対応策を求められた。亡夫から相続された財産の内、自宅を売却し、おカネを作って、中古マンションを購入して娘を自立させるために別居したいという。
 小津安二郎の映画「秋刀魚の味」を思い出す。未婚の娘を「便利に使ってきた」と述懐する老父役の東野英治郎は元教員にして今はラーメン屋の主人。娘の将来を案じるが妙案はない。
 話の筋は違うが人生は思いがけない展開をして終わる。本来なら娘の孫を抱く老後を夢想していただろうに。それが秋刀魚のはらわたのほろ苦さを暗示する。
 結局相談者には中古マンションを母名義で住まわせるが、自分の死後は「娘に100%相続させる」と遺言公正証書を提案。ちょっと甘い気がするが・・・。
 予約者5名のうち2名は急用でキャンセル。昼食後、飛込を想定して2時間ほど待機して辞した。平針駅へ向かうバスの車窓からは緑濃く映る水田が広がった。傍らに見えたのは余り苗である。捨て苗ともいうすでに田植えは終わったが、何かの不足に備えて余分に置いておく苗。
   例へれば余り苗めく娘の不憫  拙作

伝説としての姥捨て、現実としての棄老2019/07/03

 朝はどんより、雨が降らないだけまし。10時に合流して、高齢者福祉施設に向かう。道を間違えて本部に行ってしまうが、時間に余裕をもっていたために15分の遅刻で済んだ。相談者のご夫婦は首を長くして待っておられた。
 地銀の相談会で契約が成立。そのうちの1件は相続問題がこじれて、成年後見制度利用がらみの解決策を提案。すぐに依頼を受けた。ご夫婦は相続人ではなく、姻族になる。ご主人の亡父は実の親、後添いの妻つまり義母の相続の問題解決のために、ともかくご本人に面会する必要があり入居施設を訪問した次第。
 会ってお話を様々に振ってみた。生年月日も即答するし、とても認知症というほどではなく、法定後見の申し立ては無理か、と疑う。そこで任意後見を勧めるが、一方的な判断ではなく、施設側の医師の判定も勘案することとなった。
 義母さんはとても明るい性格、積極的に話を仕掛けて話題の中心になるようだ。ある意味では強気ともいえる。
 歩行は不自由であるが、笑顔が素敵で、歯並びもきれいなので自分の歯かどうか聞くと、全部自分の歯だった。これなら認知症でどうしようもなく、進むことはあるまい。認知症の人で入れ歯の人にインプラントの施術をすると認知症が改善すると聞いた。噛むことは脳の神経と強くつながっているのだろう。

 出身地が長野市というので、善光寺さん、黒姫山、戸隠山、飯綱山の地名を話すと乗ってこられた。そして顔の表情も明るくなった。「長野へ帰りたい」としきりに言われた。望郷の念ひとしお、という気がする。かといって、義母さんはは88歳になり、故郷にはもう身内は居ないのである。加賀城みゆきの「おさらば故郷さん」のフレーズが浮かぶ。

https://www.youtube.com/watch?v=LY6nc7DB5rc

 なんとも切ない歌詞である。

 あまり長居もできず、施設の責任者と情報交換することとし、以後の方針を立ててゆくことになった。正常で自分の判断が可能なら任意後見とし、とてもひどいなら法定後見とした。先ほどの元気と正常に見える様子は一時的ものかも知れない。普段から観察する人の判断が必須である。
 面会のお礼を述べて施設を後にした。
 姥捨山では老母はただ死あるのみであった。
 法治国家の現代は死の前に財産管理などの終活が必要になってきた。一筋縄ではいかない課題が山積する。

法務相談会(3回目)2019/06/18

 8時半、広報部長氏の車に同乗し相談会の地銀支店へ。支店長さんらとごあいさつの後、9時きっかりに相談者の来訪を受ける。応接室で様々な悩みを伺った。今回のテーマは遺産相続、成年後見制度、事業承継税制で、あらかじめ地銀が新聞の折り込み広告で募った5名だった。15時の予定だったが30分オーバーしたほど熱心な相談者もいた。
 中でも事業承継の相談者(80歳、男性)は奥様とともに相談に来られた。息子さんに50年育ててきた会社の経営を譲ったものの何か大切な手続きを忘れていないか、という漠然とした不安である。
1 経営権の譲渡の際に顧問税理士の入れ替えがあったことを聞き出した。創業者とともに歩んできた税理士は何でも知っているはず。しかし、若い息子に譲れば過去のノウハウ、財務諸表に現れない数字などすべてが失われる。経理事務員がいるというがリテラシーがあるかどうかは不明。新任の税理士が気が付けばいいが、創業者自身が漠然とした不安に襲われているのだから引き継ぎもなかったのだろう。
 会社の貸借対照表の資産の再評価を提案した。負債は短期的にほぼ絶対的に請求があるが、資産は不良化する。取れるのに取らないとか。社員、幹部の使い込みが発覚することもある。会社名義の不動産だけでも1㎡当たりの地価は50年で3倍以上になっている。これが事業承継税制を申請するには重要な数字になる。
2 創業者の奥様の退職金を未払金勘定に計上。これも注意が要る。既に損益計算書にも計上されている。実施した際に財源として何を取り崩すか。本当は計上する際に資産再評価をして評価益を出して同時にやると良かった。
3 遺言書の作成。兄弟は他人の始まり。今は理解を示し、仲の良い兄弟でも妻のプレッシャーが争う相続を引き起こす可能性がある。両親が存命中は穏やかな家族でも死亡するとどうなるか。
4 経営譲渡の際に登記が済ませてあるかどうか。
5 言い忘れたのは連帯保証人になっていないか、どうか。
 ほとんどは税理士さんの仕事になる。登記も司法書士さんになる。遺言書は当職で対応できる。創業者さんの心の琴線に触れる提案になったかどうか。
 最後の相談者は少し複雑な家庭で、高齢の両親との関係に悩んでおられた。既に司法書士が関与している。死亡した父の後添い(後妻)が認知症で施設入居中で、息子さんに成年後見人を付けてと迫られている。これが理解できないとのこと。先妻の息子さんと後妻は養子縁組していなかったと後悔していたが、姻族関係で4親等内なので法定後見の申し立ては可能。但し、申し立ての費用は申立人の負担とわかると絶句された。精神鑑定があると馬鹿にならない出費になる。
 高齢社会では、精神、肉体とも健全でないと地獄絵のような家族関係が見えてくる。法制(社会の仕組み)、出費、法的サービスの手続き、など知らないと誤解がぎくしゃくした関係をつくる。そんな意味でこのような相談会は社会的にも意義がある。ボランティアでも今後も2回相談員に応募しておいた。

 終了後は地下鉄原駅ギャラリーで風景写真展を見学。何と同窓の写真家だった。事務所に移動、19時からの岳連理事会に出席。岳連も一般社団法人化が日程に上がりつつある。本部ではすでに弁護士が選任されたらしい。設立手続きか、複式簿記の会計書類の作成が軌道に乗るまでか、何かに関与して協力したい。

コスモス更新研修2019/04/23

 午前9時15分から午後5時ころまでコスモスあいち研修会の更新研修だった。午前中は会員によるライブな法定後見2例と任意後見1例の実務体験発表、午後はほぼ1日DVDの画面に食いつきながら様々な法規と倫理など学んだ。

コスモス成年後見S/Cの広報月間2019/04/17

 午前中は法律関係の書籍の差し替えに来てもらった。民法、成年後見、外国人関係の法改正で差し替えが多かった。コスト的には単行本の方が安い。しかし、古いからといって書籍を廃棄するのは忍びない。古い内容のページなら容赦なく廃棄できる。不思議な心理である。
 法律の条文ならインターネットにあるのだが、的確に引っ張り出すのはかなり難しい。というわけでアナログを重視している。
 午後はあいにくの春の雨になった。4人で中区役所、中区社会福祉協議会、千種駅で1人別れて、3人で千種区役所、千種社会福祉協議会、名東区役所、名東社会福祉協議会、守山社会福祉協議会を訪問して、コスモスあいちの広報に務めた。
 名東区役所には山岳会のFさんが居て応対してくれた。最初はよく似た人が居るな、と思っていた。が、どうも本人ではないか、と名前を確認したら本人だった。それで、あれあれ、何い、となった次第だ。奇遇である。中川区から港区、そして昨春に名東区へ栄転したらしい。
 訪問が終わったところで午後4時になり、勤務時間間際になったので引き上げた。
 自宅へ戻ったところで、携帯に電話があった。在日ネパール人からビザの更新という。明日の勤務後、本人確認のために事務所へ来てもらうことにした。
 先だってはバイクの営業用の緑ナンバー取得の問い合わせのメールがあった。検索で調べて返信。PCとインターネット環境があれば自分でも簡単にできる旨返信しておいたがうまくやっただろうか。

「備えて安心!終活セミナー!」に出席2019/04/14

 目覚めは早かった。朝のうちは天気が良いが午後が雨と言う予報が信じられない。新聞に目を通し話題を拾う。特に大きな事件もなし。
 週刊誌の広告で八千草薫の記事が目に留まった。死亡記事かと思えばガンを患ったという。ご主人が登山好きで、結婚後は登山が好きになった由。夫の谷口千吉監督は「銀嶺の果」を映画化。趣味を仕事にしてしまった人。
 PCを立ち上げてメールをチエック、FBのタイムラインに参加する。心の琴線に触れる記事には「いいね!」をクリックしてゆく。そうこうするうちに12時になったので、地下鉄で御器所駅へ行く。
 表題のセミナーにスタッフとして出席。机の配置や椅子の整理を全員で行う。打ち合わせで、午後からは御器所駅2番出口から高齢者就業支援センターへ案内する係りを仰せつかる。外はやや寒いのでコスモスのヤッケを着用した。
 200人のキャパの大ホールだが、46名が集った。想定は150名程度を見込んだが、降雨予報で出そびれたか。13時の本番でまずは寸劇を開始、続いて任意成年後見の解説、休憩後、パネルディスカッションと結構長時間続いた。

 パネラーは
1名古屋市福祉部地域ケア推進課主査
2名古屋市後見あんしんセンター所長
3熱田公証役場公証人
4名古屋市シルバー人材センター理事長
5愛知県行政書士会会長
6コスモス成年後見サポートセンター愛知県支部部長

の意見を拝聴。中でも
3の公証人は弁護士、司法書士の後見活動に世間からの苦情や批判が多いことを生々しく語られて聞き耳を立てて聞いた。
4の理事長も高齢者が認知症であっても仕事をすることで軽減した話も説得力があった。その通りである。

最後は相談を受け付けて終わった。
 外に出ると小ぶりの雨。丸の内に向かい、栄駅を出ると大降りになっていた。事務所でメールを処理して帰宅する。

広告:業務案内2019/03/30

 当事務所の広告を掲載した「名古屋フリモ」都心版4月号が届きました。
 2010年8月に開業した際も居住地の天白区の中日新聞配達店系列のミニコミ誌に6ヶ月間広告を掲載して地域浸透をはかりました。その後元勤務先から会計業務の請負、契約書などのオファーがあり順風満帆に推移してきました。昨年まで成年後見人を受任しておりました。
 2019年1月以降、民法の改正に対応するべく第2の開業として広告を再開しました。
取扱業務
1 会計業務の請負・・・・契約先企業様の会計ソフト導入から、日々の入力、月次決算、アドバイス、決算書作成までを扱います。経理業務を追加すると支払い(手形、小切手発行、インターネットバンキング、給与・賞与等の支払い、その他)にも対応します。法人税申告等の税務は税理士に外注します。
※会計経理業務は会社員として40年以上の実務経験があります。PCAの会計ソフトと減価償却ソフトを使い込んできました。建設業は7年の実務経験がありますので細部のアドバイスができると思います。
※経理に精通したベテラン社員が急に退職、後継者が着任するまでのつなぎとして、または若手の指導育成にも対応します。ご相談ください。

2 遺産相続・・・行政書士には職務上請求書で委任状なしで戸籍謄本等を代理で取得する権限が付与されています。また委任状により多忙な相続人に代わって相続の業務を総合的に代行します。相続登記は司法書士、相続税の申告書作成は税理士に外注します。
※個別の遺産分割協議書、法定相続情報一覧図の作成もお任せください。
※相続人に法的なトラブルが発生した場合、行政書士では対応できないことがあります。了解を得て知己の弁護士を紹介しますのでご安心ください。

3 終活関連・・・任意成年後見、遺言公正証書等を扱います。
法定後見の方でも高齢、入院、転勤等で対応できなくなったことを理由に他の親族または士業に交代するこができます。
※親族後見から交代で成年後見人として6年間お世話をさせていただいた実務経験があります。

4 許認可・・・代表的な業務は建設業許可申請です。個人営業から法人化、会社設立の定款作成、建設業会計のアドバイスが可能です。

5 離婚のご相談・・・協議離婚の際の公正証書作成のサポートができます。相談中に調停になると判断した場合は了解の上で知己の弁護士に引き継ぎます。

6 帰化許可申請・・・在日外国人の帰化申請の手続きを代行します。多忙な依頼人に代わって必要書類の収集をサポートします。

まずはご相談からです。ご一報ください。
052-961-6506

備えて安心!終活セミナー!のご案内2019/03/27

備えて安心!終活セミナー!のご案内
~あなたに寄り添う後見人~

日時:平成31年4月14日(日)

受付:12時30分~

寸劇:13時~13路5分

セミナー:講師 内藤広子

パネルディスカッション:14時15分~15時45分

一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター
http://www.cosmos-sc.or.jp/

成年後見の実務研修2019/03/22

午後2時からは成年後見の後見人、保佐人として実務にあたる行政書士の先生から体験談を受講した。4例あり、4人の先生は詳細に手続きから最後までを縷々語られた。成年後見制度は認知症などで自律的な人生を送れなくなった人の法的なサービスである。その関わり方は様々で一様に語れない。悩みの多い仕事である。