生活保護の口座調査2012/08/11

 事務所からの転送電話が鳴った。若い男性からの生活保護に関する相談だった。現在、病気のために、長期に亘って受給中で、片山さつき参議院議員の生活保護問題をきっかけに口座調査が行われているので、自分の口座も心配なことがある、という。
 心配の中身は、生活保護の受給を申請する際に4つある口座のうち、1つは出入りがあってしなかった。入りは定期的な収入ではなく、臨時の一回かぎりのものだった。このような申請しなかった口座も調査されるのかというものだった。

 これは当事務所の判断で回答できるものではない。福祉事務所の窓口で相談するしかない。ご心配には及びません、という本人の気休めになるような回答があるとは思えないが・・・。

 おそらくこういう事例は多いので検索であたってみた。一部をコピー&ペーストした。

Q=生活保護受給者の口座は、申請していない口座も調べるのでしょうか?調べた場合、残高だけなのでしょうか?お金の取引全てを見るのでしょうか?

A=福祉事務所によって対応が違いますね。

都心部なんかだと金融機関の数が多すぎて調べきれないので、自己申告した口座だけ調べると聞いています。
私のところでは、新規申請の際には市内に支店のある金融機関の口座を全て調べますし、転入者の場合は転入以前の福祉事務所に調査をしている金融機関を聞いて照会します。

もう一件、相談者に近い設問があったのでC&Pした。

A=生活保護を受けると、銀行口座であるとか、郵便貯金であるとか、口座の申請をしていなくても、調べられてしまうでしょうか。それとも、申請した口座だけ調べられますか。

当方、オークションなどで転売してほんの少しだけ収入があって(月5000-1万円程度)、この口座だけ申請しないように検討しているのですが、バレますか?ヤバイことはしないほうがいいでしょうか。

A=役所は、金融機関に対し直接に口座の入出金状況を調査する権限が法律の規定で与えられてますからね。
 厳重注意で済むか、多少なりとも返金を求められるか、それとも生活保護の打ち切りか・・・後は、役所が判断することです。

 生活保護法
 第27条 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。

 第62条 被保護者は、保護の実施機関が、(中略)第27条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。

 第29条 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定又は実施のために必要があるときは、要保護者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、要保護者若しくはその扶養義務者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。

 第78条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

 第85条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治40年法律第45号)に正条があるときは、刑法による。

Q=生活保護口座に入金が合った場合の申告

保護費が支給されてA銀行へ振り込まれる→それをATMで出金してB,C,D銀行へ入金。福祉事務所はB銀行をチェック

入金があることに対してCWはこれを収入と判断しますか?

入金の報告を怠ったことで不正受給と判断、保護打ち切り?

わたしは通販に頼るしかなく保護費が振り込まれる地方銀行から支払いをすると手数料がかかるので手数料無料のネット銀行へ移動させただけ。

A=貴方がお持ちの銀行口座全てを担当職員へキチンと届け出てあるモノであれば、貴方がご自身の名義で自分で自分の他の口座に資金を振り込み処理等で異動させたと言うような場合、これは記録を見れば解りますから何ら問題はありません。
問題が無いのでそれは報告しなくても良いと言う事です。

但し、無届けの口座等の場合、不正受給の疑い有りと言う事で何れ記録を年間に何度かチェックされた際に不審点として浮上してきますから、その時に秘密の口座があったと言う事になれば、痛くない腹を勘ぐられると言う事にしかなりませんから、そうならないように、キチンとお持ちの口座は全て届けておくようにされて下さい。

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 役所では無届の口座はないものと思い、申請者を信用し、申請された口座で判断している。調査が始まってから無届の口座がありましたと、届けるのは勇気がいる。しかも入金があった場合は疑惑のもとになる。一事が万事という見方だ。
 生活保護は生存のための最後の砦ということで、税金が投入されている。相談者は何とか仕事を見つけて、生活再建を目指して欲しいと思う。