汗拭きを二枚も用意して仕事2019/07/31

 朝から猛暑、便乗の車を待つ間は緑陰を探した。風はほとんどなく、額から汗が滴る。それを見越してハンカチも2枚持った。そしてある地区の義母の入居施設に向かった。
 ある銀行の相談員として受けた家族関係の中の相談は深刻だった。実の父の後妻なので血のつながりはなくても姻族として面倒は見なければならない。財産がたくさんあれば先を見越して養子縁組など手抜かりなくやっておいたはず。そうでなければ父の死後の縁は薄い。かつ義理の母は認知症で施設に入居したものの財産整理が進まなかった。夫婦には地獄であった。姻族の悲哀である。
 相談をうけて最初に義母に会うと明るく愛想がよかった。長野市の出と自白されたので、善光寺とか山の名前を出すとみな反応された。遠い記憶は壊れていない。これなら任意後見が適当と思われた。医師の診断後の今日再会したが、結局診断は認知症であった。今も亡夫の死を認めていないとのことであった。
 それで法定後見の手続きを進めることとした。当の息子さんには書類の収集と書き方を指導し申し立てへの準備を進めてゆく。猛暑の中、かけづり回った1日である。9月にも申立て、審査を経て年内にも後見人が決まる。さすればあの夫婦の悩みも一段落することになる。

広告:業務案内2019/03/30

 当事務所の広告を掲載した「名古屋フリモ」都心版4月号が届きました。
 2010年8月に開業した際も居住地の天白区の中日新聞配達店系列のミニコミ誌に6ヶ月間広告を掲載して地域浸透をはかりました。その後元勤務先から会計業務の請負、契約書などのオファーがあり順風満帆に推移してきました。昨年まで成年後見人を受任しておりました。
 2019年1月以降、民法の改正に対応するべく第2の開業として広告を再開しました。
取扱業務
1 会計業務の請負・・・・契約先企業様の会計ソフト導入から、日々の入力、月次決算、アドバイス、決算書作成までを扱います。経理業務を追加すると支払い(手形、小切手発行、インターネットバンキング、給与・賞与等の支払い、その他)にも対応します。法人税申告等の税務は税理士に外注します。
※会計経理業務は会社員として40年以上の実務経験があります。PCAの会計ソフトと減価償却ソフトを使い込んできました。建設業は7年の実務経験がありますので細部のアドバイスができると思います。
※経理に精通したベテラン社員が急に退職、後継者が着任するまでのつなぎとして、または若手の指導育成にも対応します。ご相談ください。

2 遺産相続・・・行政書士には職務上請求書で委任状なしで戸籍謄本等を代理で取得する権限が付与されています。また委任状により多忙な相続人に代わって相続の業務を総合的に代行します。相続登記は司法書士、相続税の申告書作成は税理士に外注します。
※個別の遺産分割協議書、法定相続情報一覧図の作成もお任せください。
※相続人に法的なトラブルが発生した場合、行政書士では対応できないことがあります。了解を得て知己の弁護士を紹介しますのでご安心ください。

3 終活関連・・・任意成年後見、遺言公正証書等を扱います。
法定後見の方でも高齢、入院、転勤等で対応できなくなったことを理由に他の親族または士業に交代するこができます。
※親族後見から交代で成年後見人として6年間お世話をさせていただいた実務経験があります。

4 許認可・・・代表的な業務は建設業許可申請です。個人営業から法人化、会社設立の定款作成、建設業会計のアドバイスが可能です。

5 離婚のご相談・・・協議離婚の際の公正証書作成のサポートができます。相談中に調停になると判断した場合は了解の上で知己の弁護士に引き継ぎます。

6 帰化許可申請・・・在日外国人の帰化申請の手続きを代行します。多忙な依頼人に代わって必要書類の収集をサポートします。

まずはご相談からです。ご一報ください。
052-961-6506

週刊現代3/23号を読む2019/03/11

 新聞に同誌の広告で「実は一番怖いのは兄弟姉妹、義父義母、姪っ子、甥っ子、従兄弟の小見出しに親戚に財産を奪われないための「死後の手続き」と「事前の準備」と大見出しがあった。滅多に買わない週刊誌だがこれは買った。というのも疑似体験があったばかりだからだ。
 本文を読むと盲点とあったが実際その通りである。但し、事例に挙げられた家族はまだまだまっとうである。ありうると想定できるからだ。私の場合はまだあったばかりだし書けない。事実は小説より奇なりを地で行く話なのでちょっとしたドキュメントになる。
 民法は破綻法とならった。その通りだ。人間関係の離合集散の整理の体系なのだ。今や成年後見制度、その拘束を回避するための家族信託(民事信託)、遺言書、ゴミ不動産を一般社団法人に移す、などが入り組んで権利義務が複雑化するばかり。その上、税法の網が待っている。やり方によっては刑法も視野に入る。広範な法知識が必要な時代になった。

行政書士記念日の広告2019/02/22

2月22日は行政書士記念日です。
中日新聞朝刊に愛知県行政書士会の一員としてまとめて広告を掲載しました。
但し、広告の一部に手違いがあり、以下の通り訂正します。
ご迷惑ですが、当事務所にご連絡の際は以下のところへお願いします。
電話番号 052-961-6506
FAX番号 052-961-6507
当事務所では以下の業務を扱っています。
1 建設業に関するもの・・・建設業許可申請、事業年度終了届、建設業会計代行等
2 外国の方に関するもの・・・帰化許可申請
3 権利義務・事実証明等・・・遺言書・遺産分割協議書作成(遺産・相続)、契約書作成、法定相続情報一覧図作成、会計帳簿作成(経理事務代行)、その他。
※遺産・相続のうち、相続税申告書作成と相続登記は各士業とのネットワークで対応させていただきます。

グリーフケア2018/12/04

 今朝の中部経済新聞の一面で発見した言葉。
大見出し:東海地区の地銀、相続関連の取り組み強化、ニーズの高まり受け体制整備
 東海3県(愛知、岐阜、三重)の地方銀行が、相続関連の取り組みを強化している。相談件数が右肩上がりで増えるなか、遺族への接し方や窓口対応などを学ぶ「グリーフケア研修」が広がりつつある。十六銀行は2019年1月に行員300人規模に拡大して実施する。高齢化の進展や増加する事業承継に絡み、相続ニーズは今後さらに高まる見通し。各行とも新たなビジネスチャンスとして体制整備を加速する考えだ。

「グリーフケア研修」をググルと
協会概要
 運営理念
 グリーフケアの普及と推進の観点から、遺族へ送る手紙とギフトに関する事業を行い、遺族への接し方に係る問題の改善や解決をはかり、遺族の苦しみを軽減することを目的とします。

 設立趣旨
 家族葬が増えるなど喪に関する社会習慣は変化しているが、贈答やお見舞いの習慣は変化しておらず、儀礼が優先され形骸化している。死別後に思いやりのない言葉をかけられ傷つく遺族も多く、人間不信から引きこもり状態に陥る遺族も多く見られる。

 英国や米国ではグリーフケアの必要性が広く認識されているが、日本では認知度が低く、治療が必要な「複雑性悲嘆」に陥る人も多いといわれているが実態すら把握されておらず、問題が顕在化していない。
日本にもグリーフケアの担い手を育成する協会は複数あるが、ケアの担い手を増やすだけでなく、広く世間に対してグリーフケアの認知度を高め「遺族を傷つける人」を減らす方策も必要である。

 そこで、我々は、グリーフケアの普及と推進の観点から、遺族へ送る手紙とギフトに関する事業を行い、遺族への接し方に係る問題の改善や解決をはかり、遺族の苦しみを軽減することを目的とし、一般社団法人日本グリーフケアギフト協会を設立する。

v遺族の立場から、遺族が望む対応や言葉を発信し、「グリーフケア」の必要性が周知され、遺族の心理状態を理解した上での遺族への接し方(贈り物・手紙・窓口対応)が常識となるよう尽力してゆく。

平成28年9月1日
一般社団法人日本グリーフケアギフト協会
代表理事 加藤美千代

グリーフケアとは
遺族にとって必要な心のケア
「グリーフケア」とは「グリーフ(死別によって引き起こされる様々な感情:苦しみ・悲しみなど)」と対峙するために必要なケアのことを指します。
欧米では、グリーフケアの概念が広く知られ、誰もが病院やサポート組織からグリーフケアを受けることができるそうです。

日本では、しきたりや世間体が優先され、遺族に対しての心のケアはあまり重視されていません。
大切な方との死別に打ちのめされている方に「グリーフケア」という概念を知っていただくだけでも、「この苦しみと対峙するには特別なケアが必要なのだ」ということが分かり、慰めになるのではないかと考えています。
「グリーフ」とは
 グリーフ=Griefとは、死別による悲嘆(ひたん)と翻訳されることが多い言葉です。
 大切な存在をなくしたことによって生じる、深い心の苦しみを含む反応で、感情的な反応だけではなく、社会的機能や日常生活機能などの低下や停滞を示すこともあります。

 日本では死別の悲しみに耐えることが賞賛され、「早く立ち直らないと故人が悲しむよ」など、「しっかりすること」が求められがちですが、グリーフケアの観点からは以下のように言われています。

・ 死別の悲しみは自然なことです。感じること全てが正常です。
・ 死別の悲しみの形は人により全く違います。寂しさ、怒り、自責感、無力感、不眠、頭痛など、全てが悲しみの表現です。
・心の中にある気持ちは、何らかの形で表現されることを望んでいます。本当の気持ちを言葉にすることが大切です。
・ 死別の悲しみは死別と向き合うことで和らいでいきますが、時間がかかります。焦らずに向き合う必要があります。
・死別の痛みに一人で立ち向かう必要はありません。周囲の人や専門家などにお願いして助けてもらうことが大切です。
 「グリーフケア」とは
 遺族が行う喪の作業をグリーフ・ワークといいます。
「死別の苦しみ・悲しみを乗り越え、大切な人がいなくなった世界でもう一度人生を作り上げていく作業」が必要です。

 遺族が、この「グリーフ・ワーク」に取り組めるよう、周囲の人が遺族に支援・サポートすることを「グリーフ・ケア」といいます。

 欧米では一般的なグリーフケアも、日本では、阪神大震災の後に注目が集まるようになったばかりです。
 当協会は、より多くの方々に「グリーフケア」という概念をお伝えし
・まずケアの存在を知ってもらうこと
・グリーフケアを真逆の言動を取る人を減らし遺族の苦しみを軽減することを目標としています。

 更にググルと
グリーフケアを調べるとき最初に知っておくべき7つのこと
https://last-cleaning.com/grief-care-6748
がヒットした。
以上
 日本はすでに高齢社会になった。今後団塊の世代の加齢で更に高齢化する。ということは多死社会になるということでもある。社会の大変化を背景にした新たなビジネスなんだと思う。すべておカネがともなうからだ。中身は特に新鮮な内容は無い。
 これは文学芸術に関心があれば分かりやすい。本当に悲しいときには人間は泣かないものだ。(小津安二郎)それを察するには人間力である。人柄といってもいい。
 あえて外国語をそのまま使うことが胡散臭い気もする。欧米では一般的・・・と書いてあるが、なぜ欧米を模倣するのか。欧米社会はそんなにも先進性があるのだろうか。日本人は他家の死に冷たいとでもいうのだろうか。否そんなことはない。驚異的な額にのぼる寄付金や無償ボランティアを見ても他人の死に無関心ではない。現に絆が強調もされた。
 欧米は偽善者、日本は照れである。
 個人的に言えば、今夏、被後見人の死亡で死後事務に忙殺された。さらに相続も依頼されて奔走してきた。ある金融機関(信用金庫)では、長い間ご苦労様でしたとねぎらわれた。あれは教育的な効果だろうか。他の金融機関は一切なかったから彼女の人間性である。
 他方では悲嘆にくれる相続人の心理をまったく理解せず、変な動きをする親族もいて困惑させられた。悲嘆さは号泣するとか、すすり泣くとかではない。無感動になるのだ。ある意味、認知症になったかと疑うこともあるだろう。人間の心理について正しい知識を学ぶ必要はある。

追記
なぜ 日本ではクリスチャンは偽善者扱いされるの
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12182001992

グリーフケアとキリスト教とでググルと
http://www.shinai-ceremony.org/blog/2014/12/post-31-1057131.html
がヒットした。図星だった。
 欧米では一般的と書いた人は意図的にキリスト教社会の基盤を書かなかったものと思われる。

キリスト教精神に基づくグリーフケア
ここでは、キリスト教の精神に基づくグリーフケアについて分かち合いたいと思います。

グリーフケアとは、「死別の悲しみの癒し、慰め」のことですが、たとえクリスチャンであっても、大切な人との別れはつらいものです。

そして、別れ方が悲惨であればあるほど、悲しみは深まります。

もちろん、人を愛していればいるほど、その人を失ったときの悲しみは大きいもので、深く嘆き、絶望感を抱いてしまうことは、人間として自然なことです。

けれども、そのような「正常な悲嘆」もあれば、あるべきではない「病的な悲嘆」もあります。

いくつか例を挙げてみます。

(文字をクリックすると、詳細ページに移動します。)

→ 子どもに暴言を吐くようになった母親

→ 精神不安定でお酒に依存してしまう女性

→ 体重が減り、体力が極端に落ちた男性

→ 情緒不安定でよくケンカをするようになった少年

死別の悲しみによって、このような病的な悲嘆に陥ってしまう原因として、

• 他人の前で泣き崩れてはならないと気構えて、
 感情を押し殺している時

• 周りに慰めてくれる人がいない時

• 気まずいからといって、周りの人から避けられている時

• つらいからといって、遺体を見るのを避けたり、火葬に出ない時

• 式や後の事務手続きなどの務めばかりして、十分に故人を想う時間が取れない時という5つの点が代表的です。

悲しみに対する十分な対処ができないことが原因になってしまいます。

このような病的な悲嘆を癒し、慰めるために、色々なアプローチがされています。

精神医学や心理カウンセリング、アロマセラピー、また牧会カウンセリングやスピリチュアルケア。

たとえ精神医学や心理カウンセリングでも、それぞれの学派があり、流派があります。


ここでは、神愛メソッドをご紹介します。

→ 神愛メソッドによるグリーフケア

適切なグリーフケアを行うことによって、

絶望の中で慰めを得て、愛する人を失って意味が無くなってしまったかのような人生に意味を見出し、残された人たちとの絆を大切にできます。

それによって、死別の悲しみによって引き起こされる身体的・精神的障碍を予防することができ、同じように悲しんでいる人を助けられるようになります。

それは、故人の死を無駄にせず、価値あるものとする生き方です。

神さまによる癒し、慰めを必要としている方は、ぜひご相談下さい。

キリスト教精神に基づいて、奉仕させていただきます。
以上

 一方で日本の仏教は葬式になるが、これは実は儒教に基づくものらしい。通りで形式的になるわけだ。

 グリーフケア研修は日本におけるキリスト教徒の新手のビジネスと分かった。極端にならないことを祈りたい。

 最後にまたコピペですが、
 「アジアで唯一欧米諸国の植民地にならなかった日本について、その理由を芥川龍之介の小説から分析している記事です。

 日本には先祖供養の文化があり、キリスト教では、キリスト教徒以外の人の死後は「地獄に落ちる」ことになっており、それが日本人には到底受け入れられなかったとのことです。

 また、あらゆるものに神々が存在する精霊信仰の国である日本には、一神教であるキリスト教が異質のものと見なされ、布教活動の障壁となってきたとのことが、宣教師の回述にもあったとのこと。

 外来の様々な文物と同化→融合→日本化してきた歴史から見ても、同化できない対象がキリスト教であったと思われます。

 キリスト教が根付かなかったことから植民地化を諦めた金貸しは、日本を戦争に巻き込み、戦争による国力の低下を待って間接支配:傀儡政治に舵を切ったと思われます。

 途中にはキリスト教化と同じ位相でさる国語を英語に変える戦略も二度ほど試みられましたが、心ある人たちによってそれは阻止され、かろうじて「日本人の心」:本源性は失われることなく現在に至っています。

 それが日本の可能性に繋がっています。共同体社会への欠乏が高まっていく今後が、日本という国が世の中をリードしていく役回りであるということが、徐々に確信に近づいています。

以下、『世界を操るグローバリズムの洗脳を解く(馬渕睦夫著)

からの紹介です。」

 そこに近くに居るだけで安寧につながる。そんな人に私はなりたい。

相続人調査の研修会2018/08/25

 名古屋市の市民後見の関係で相続人調査の代行の仕事を受託。もっと多くの先生方に加わってもらうために基礎知識と実務の両面から実戦的な研修会が開催された。
 研修は大抵は理論倒れに終わるが今回は実際に相続手続き支援や役場で役立つ知識やノウハウが盛り沢山であった。
 私もちょうど、被後見人の死去で、その知識の吸収に努めた。7月末で後見事務を締め、8月上旬に後見事務を終えた。8月中旬に監査を受けて、家裁の審判を待機中である。それが終われば引き継ぎ書に署名をもらって家裁に報告するとすべての後見は終わる。
 同時並行で、すでに相続人調査は終わった段階なので復習的な意味合いであった。やや特殊な事例も多かった。講師は長年に亘る豊富な業務経験があるので、特殊な事例もあるのだろう。しかし、基本は記載された事実がすべてである。
 私も三代戸籍を取得した際、戸籍の新編製とあったので、遡及してみたが、三代戸籍の廃止と地名の変更とで内容には変化はなかった。担当者はミスだ、と指摘されたが、そんなこともあるのだ。
 思えば、名古屋は空襲を受けていることと、戦前戦後とで地名が大きく変わっている。私の事務所のある丸の内も近くの錦も戦前は西区であった。西区からは中区が生れた。めまぐるしい変遷があった。それだけ戸籍の地名も錯綜しているわけだ。
 ある意味で面白い仕事だと思った。調べることは好きなことでもある。但し、本質は他人の権利義務に関わることなので遊び心ではやっておれない。真剣かつ興味を失わないで継続しなければならない。

認知症で財産動かせず…元気なうちに子らに任せる「家族信託」注目2018/06/29

ソース:
http://www.sankei.com/life/news/180629/lif1806290020-n3.html
 超高齢化が進むなかで、最大の関心事のひとつは認知症だろう。平成28年度版「高齢社会白書」では、65歳以上の認知症患者は、24年に約462万人(7人に1人)だったが、37年には約700万人(5人に1人)になると見込まれている。認知症では介護の問題がクロースアップされるが、実は判断能力が衰えることで財産を動かせなくなってしまうという問題もある。トラブルを避けるため、元気なうちに家族に財産管理を任せる「家族信託」が注目されている。

 両親が施設に入居

 川崎市に住む女性(50)の両親は、同市内のマンションで夫婦2人、元気に暮らしていた。しかし2年前、父(84)の認知症が進み始め、特別養護老人ホームに入居することになった。すると母(86)も「1人暮らしより老人ホームに入りたい」と、自分で気に入ったホームを見つけてきた。

 両親の新生活がスタートしたが、費用の問題に頭を抱えることに。「別々の施設に入ったために月々の支払いは40万円を超えました。これから何年出費が続くのかと思うと、先が見えない不安に陥りました」

 そこで女性が考えたのが、両親がいなくなったマンションの売却。放置しておくと資産価値がみるみる下がってしまう。「早めに売って施設の費用に充てよう」と考えたのだ。

 ところが、不動産業者を訪ねて、事態は簡単なことではないと分かった。マンションの所有者である父親が認知症だということを話すと、売却の仲介を拒否されたのだ。所有者である父親の意思が確認できなければ、不動産の売買はできない、と。

成年後見もあるが…

 認知症で判断能力が衰えると、不動産の売買のほか、定期預金の解約や保険金の請求などもできなくなってしまう。そこで、不動産業者から勧められたのは成年後見人を立てることだった。家庭裁判所に申し立てをすれば、後見人が代理で売却できる、とアドバイスされた。

 女性は後見人の申し立てに傾きかけたが、重要なことに気づいて取りやめた。後見人をつけた場合、マンション売却によって得た代金は父のためには使えても、母のためには使えなくなってしまうからだ。途方に暮れていたところ、見つけたのが「家族信託」という制度だった。

 まずは専門家に相談

 家族信託は文字通り家族を信じて財産を託し、管理してもらう方法だ。家族信託コーディーネーターの横手彰太さんは「家族信託は、子供のお年玉を親が預かるのに近いイメージ」と表現する。

 子供には高額なお年玉を管理する能力がない。そこで親が預かって、子供の学資に充てるなり、必要なものを買うなりする。家族信託では逆に、認知症で判断能力の低下した親に代わって、子供が親の財産を管理し、親のために財産を活用する仕組みだ。

 すなわち、親の判断能力が衰える前に親子の間で契約を結び、親から子に財産の名義を移しておくことで、親の認知症が進んで判断能力を失ったとしても、子供は契約に基づいて自分の判断で財産を動かすことができる。

 家族信託は信頼に基づく契約だが、不安があれば「信託監督人」を別に置いて、お金の出入りや使い道をチェックしてもらうこともできる。
 家族信託の契約には、どんな財産を信託するか、委託者(親)が亡くなった場合はどうするか、などの細かい設計が必要で、税理士や司法書士らの専門家の助けが欠かせない。ただ、新しい仕組みのため、専門家なら誰でも詳しいというわけではないので注意が必要だ。

 女性はこの年のうちに父と信託契約を結び、無事にマンションを売却することができた。今は家族信託の受託者として、父と母それぞれの介護費用を管理している。「あれから1年半。母も娘に任せたことで安心したようで表情が明るくなりました」と話している。(「終活読本ソナエ」2018年春号から)

・・・・娘が2人いる高齢の知人の中にも、任意成年後見と信託の利用を勧めたことがあった。考えているうちに、知人の方で自宅を売却し、代金で自宅用マンションを購入。知人は次女と同居。死後は次女の所有になるとした。相続であれこれ悩む前に生活のダウンサイジングをはかったのだ。

 長女は売却代金のうち、大学へ進学する孫への教育資金を受け取られたようだ。これで事実上、生前贈与を果たすことになった。知人の意思がしっかりしているうちに分かりやすい贈与を実施したのである。長女の家には夫の母が同居している。しかも知人よりも若い。長女が二人の母の面倒を見るわけにはいかない。
 家族信託は理論的には合理性がある。しかし、誰が受託者になるか。親族間の政治がある。つまり、長女には夫、夫の母の干渉(入知恵)が入る。

 知人がしっかりしている間は遠慮が働くが、認知症になったり、施設に入居でもしたら、たちまち親族間の政治のバランスが壊れて夫主導になってしまう。

 知人はそこを配慮して、思い切って売却されたのだろう。自分の生活費を残して、生前に分けてしまえば良いじゃないか、ということだった。家族信託には語られない事務管理の煩雑さ(専門家に有料で依頼する部分)を回避できてさっぱりする。懸命な選択だった。
 相続、資産運用も気苦労の多いことである。

 家族信託ありきではなく、生活を見直して、必要とあればダウンサイジングを実施する。その上で、成年後見制度利用か家族信託かの検討がいる。

研修:法定相続情報証明制度について2017/10/26

 今日は法定相続情報証明制度の実務面からの研修を受講した。9月には法務省登記官を招聘して説明会があったが欠席した。今回は先回のおさらいも含めて、実際に使用したことがある行政書士の先生が書類の書き方の細目に亘る実践的な内容に終始した。相続放棄や相続廃除などのイレギュラーなことへの考慮もあって簡単ではない。当研修は某先生の失敗への反省から発案されたらしい。件数をこなせば理解も早まり深く知識が得られるが中々機会の少ない先生には意義深い研修になった。

留置場への手紙2017/03/14

 3/6に面会に行った。やっぱり留置場のお世話になっている人は複雑な人間関係が投影している。周囲の信頼を失った結果、社会的な互助の関係からも外れてしまう結果犯罪を犯す。
 15分という短い時間では十分に聞き出せなかったが、ある手続きが必要と分かった。これは司法書士か弁護士の業務になる。しかも本人は身動きできないので代理人として動くことになるから自ずと弁護士に収斂される。
 同窓の信頼の置けるベテラン弁護士と相談した結果、そろそろ拘留期間も満了で起訴される。すると国選弁護人が付く。その方に相談することが良いだろう、との結論に達した。これを書状にして留置場の当人宛送付した。

留置場からの手紙2017/03/01

 何で当事務所の名前を知ったのか、留置場に収監中の人から遺産分割の手続きの依頼の手紙が来た。文面は簡略な内容しかなく、当該警察署の留置場に面接の予約を申し込んだ。すぐには行かず何日か後になるし面接時間も15分と短い。
 ネットで検索してもヒットの事例がきわめて少ない。印鑑証明が発行されない、銀行はその遺産分割協議書には応じないとかネガティブな話ばかりだ。しかしこれも縁だから要望に応えたい。
 手紙の主はどんな罪で留置されたのかは知らないが、多分、親の死を知って遺産分割の話になったのだろう。
 しかし、行政書士は依頼人(相続人)の代理はできない。やると非弁行為になる。その判断は面接後になる。