死因贈与契約について2011/08/27

 Cさんから相続について相談を受けた。実兄Aが最近死亡した。この際、兄の妻B(財産は妻名義の不動産がある、現在入院中、兄弟など推定相続人がいる)から住宅をあげると持ちかけられた。これは贈与になるのか。

住宅なので存命中は譲渡できない。それに贈与税は税率が高いがCさんとBさんは夫婦ではないので優遇税制は適用されない。だから生前贈与は現実的な選択ではない。

 贈与するBさんが死んだ場合に効力を生じる死因贈与契約ならば相続税が適用されるので税金面で有利。入院中とのことなので自筆遺言書が書けない場合に一考したい。この場合も公正証書にしておきたい。
 後々の所有権移転登記の手続きをスムーズに進めるために「贈与者は、贈与物件について受贈者のため所有権移転請求権保全の仮登記をなすものとし、受贈者がこの登記手続を申請することを承諾した。」の文言を入れておきたい。
 そして執行者を選任しておきたい。選任しないと移転登記手続きの際、相続人全員の判子が必要になります。執行者は弁護士、司法書士、行政書士など専門家がベスト。

 以上はBさんと意思疎通が可能な場合の手続きです。
 入院中に認知症になったりすると煩雑なことが出てきます。この場合は成年後見制度を利用する考え方があります。

 何もしないと・・・。法定相続になります。

 遺産は法定相続人に遺産分割されて、相続権のないCさんには1円ももらえない。
 自筆遺言書が書けるならCさんに譲渡する旨の書面にしてもらう。この場合も執行者を選任しておくこと。できれば公正証書遺言にしたい。

 しかし、Bさんの死後、相続人たちはCさんに遺産が死因贈与されている契約があったと知ると感情的な対立を生みやすい。(遺言なら遺留分があるがこの場合は子がなく、兄弟しかいないので遺留分は請求できない。)