宮脇淳子『真実の中国史』[1840-1949]を読む2011/11/04

李白社から2011.11.3刊。著者の宮脇淳子さんの名前はワック出版の『歴史通』、月刊「WILL」誌、動画「現代のコペルニクス」での対談と、近年急に露出度が増してきた歴史研究家の印象がある。というより、私が彼女の書く物に興味を増して近づいていったといえる。最近もワック文庫『世界史のなかの満洲帝国と日本』を読んだばかりである。
 朝日新聞の広告を引きちぎってすぐに買いに走った。手にとって337ページも大著を読み通せるか自信が無かったがともかく今、1回目は読み通した。
 細かい感想はともかく、著者が歴史の真実を追究して止まない学者ということはビシビシ伝わってきた。歴史はその時代の政治の影響を最もよく受ける分野である。そのために歪曲され、真実をゆがめられ易い。著者はだれに遠慮することもなく、そのウソを剥がして行く。そして本当はこうだったと解説する。
 それにしても著者はコミンテルンの影響は今もあると指摘する。日本では左翼であることが賢い人間、できる人間と見られる。私もそう思っていた時期があった。しかし、戦前の非合法時代に日本共産党にいた先輩の話から左翼は内部の権力闘争を繰り返す人の集団と知った。要するに頭で人の上にたって組織を動かしたい特権意識の人たちなのである。
 自虐史観というか、日本人が日本のことを悪し様に書く人の如何に多いことか。わざわざ外国まで行って戦前のことを種に日本政府に訴訟をさせるある弁護士もいる。中国、韓国に謝罪するばかりの政治家もいる。中国の言うままにかいた新聞記者もいたな。結局、日本の学者は経済的に貧しいからウソでも本を書いて糊塗するのだろう。中国、韓国は扱いにくい国だからとりあえず、謝罪をとその場しのぎで軽視してきた結果が増長である。
 本書が多くの人に読まれて本当はこうだと知って欲しいものである。ちなみに私が知る中国人は少数民族の満州族で結婚して日本に来た。彼女は反日教育は受けなかったという。言われていることとは違う。
 また私が興味を抱く里見甫がなぜ阿片王といわれるのか少し分かった。中国では国がしっかりしていないから貨幣は信用されず、阿片が信用されたのだという。そのことはP45の「中国でアヘンが大流行したのはなぜか」以降を読むと氷解します。アヘンは高額紙幣と同じ役割をしたといいます。佐野真一さんはことさらに阿片王と銘打っていますがちょっと買いかぶりすぎではないでしょうか。もっと上手が居たんでしょうに。阿片に翻弄された悲劇の日本人です。
 群盲巨象を撫でるといいます。めいめいが勝手な史観で書いているからおかしいことだらけ、分からないことだらけの中国の真の理解への端緒になると思います。