職業後見人を選ぶまでの問答2012/01/06

 1/5付け朝日新聞の一面広告で公益財団法人日本ライフ協会なる団体があることを知った。
 上野千鶴子『おひとりさまの老後』がベストセラーになり、昨年12月に文庫化もされた現況を鑑みても終活は無関心ではいられない。検索するとそのような社会のニーズを汲み取った団体と理解した。一人暮らしの高齢者の最期までのサポート事業を実施している団体であった。
 頼る家族、兄弟と死別し、甥、姪も縁遠い、ボランティア、友人も居ないとなればこのような団体の存在は意義があろう。
 中でも「見守り家族」の担う成年後見制度は当協会が身上監護を担当し、共助事務所(※共助事務所とは、日本ライフ協会の活動理念に賛同頂き、みまもり家族契約に関わって頂いている法律の専門家です。)が財産管理をすることになっている。
 契約費用、事務所名、会計報告はHPで閲覧可能。
詳細は http://www.jp-life.net/

 検索時に当協会と信用のキーワードでヒットした掲示板も参考にコピーしておきたい。この事例は介護素人=甥からの相談である。

特別擁護老人ホーム「緑風園」介護・福祉情報掲示板 から

日時: 2010/09/22 18:27
名前: 介護素人

 いつも参考にさせていただいています。
 今回初めて、相談させていただきます。

 自分の叔父のことですが、最近行方不明になっていたのが頭頂部の脳梗塞?により、高次脳機能障害?という病名付きで発見されました。父も母も亡くなっており、叔父とは面識さえありません。
 病院の方からは、支払や今後のことを迫られているので対応していくつもりですが、その後についての遠方ということもあり金銭管理や生活のあれこれについて専門のところがあるみたいなので頼みたいと思っています。
 その専門の・・・というところが日本ライフ協会という公益法人なのですが、200万円前後の大きなお金を使うこともあり本当に信用がおけるのか悩んでいます。
 この掲示板での適切な問題かどうかわからないですがご助言いただけると助かります。間違っていたら謝ります。
日時: 2010/09/23 09:29
名前: masa◆GYLhv9tAC1c

 日本ライフ協会という団体がどういう団体であるか、信頼を置いて任せることが出来るのかは承知していません。

 しかし身寄りのない方ならともかく、あなたのような近親者がいるのですから、>頭頂部の脳梗塞?により、高次脳機能障害?という病名付きでこの状態であれば成年後見制度の対象でしょうから、きちんと成年後見人を選任して対応したほうがよいのではないですか?
 例えばあなたが成年後見になるように申し立てる方法もあると思います。手続きは司法書士に依頼しても数万円で申し立てから選任まで出来るでしょう。

 あるいは地元の社会福祉士会を探して相談してみると何かしら支援策を提示してくれると思いますよ。どちらにしても最初から200万円前後の大きなお金を使うことを前提にした対応策しかないということではないと思います。

 そちらは最終手段として考慮するということでよいのではないでしょうか。
日時: 2010/09/23 16:15
名前: 介護素人

 ありがとうございます。
 成年後見制度についても、職業後見人さんについてもらう前提で概要の説明は受けましたが
①病院等の身元引受人にはなれない点
②死亡時点で後見人の仕事が終わる点
③手術の同意をすることができない点

というところが、どうしても気になります。またこのような問題に対しては「事前に協議」を行って行くしかないという担当者の返答でした。

 が、本人の状態として簡単な計算もできない状態で少し間の記憶も保っていることができないのでこの「事前に協議」ができるのか疑問です。

 もちろん、伯父の今までの生活や考え方、人間性を一切知らない私にも「後見人に伯父の希望を伝える」ことは不可能です。と思い成年後見制度については利用は躊躇していました。

 (私自身が後見人になるという選択も検討しましたが、気持ちの面で私がしても第三者がしても、本人の意思や希望をくみ取ることが難しく、普遍的な身上監護と財産を守るという視点での財産管理になるのなら、第三者のほうが客観的な視点を持てると判断し職業後見人の方向で考えていました。)

 ちなみの社会福祉士会というところにも勧められので相談しましたが、どうも話の理解が難しく、一方的に「そんな人には後見しないとダメでしょう」と言われてしまったので話が通じなかったのかもしれません。

上記の成年後見制度の説明は地域包括支援センターというところで教えてもらいました。

 恐らく親族でありながら、今後一切の関わりを持つことを避けようとしている私の考えに根本的な間違いがあるのでしょうが、「親族なのだから何とかしてください」という病院側からの連絡や「最終的には甥であるあなたに決定をしてもらわないといけない」というニュアンスを福祉関係の方や成年後見制度等に関わる人から感じ、正直入院中に連絡がとれないようになってやろうかと思うような心境になっています。(実際、ほかに私より血のつながりや関係が深い人を探し関係者に差し出そうと思い、調べましたが存在していませんでした。)

 後半、愚痴になってしまいましたがもう一度問題となるような点を考え直して関係者と話を進めてみます。

 ありがとうございました。
 
日時: 2010/09/24 18:46
名前: ルーキー

 役に立つか分かりませんが、参考までに。

 まずは経済的な問題。
 民法に規定される扶養義務の範囲は3親等の親族まで及びますが、これは絶対ではなく、通常は直系の血族と兄弟姉妹まで。
 特別の事情がある場合のみ、3親等の親族が扶養する義務を負うことになりますが、これは家庭裁判所が審判を下した場合のみです。
 ただし、伯父とはいえ、初めて顔を合わせる関係である介護素人さんの場合、扶養義務者としての審判が下る可能性は極めて低いでしょう。

次に職業後見人を選任した場合の問題。
①の身元引受についてですが、後見人自体が身元を引き受けることはありませんが、退院・退所後の生活環境を整える判断と事務については義務を負っていると考えます。

②一般的には死後事務についても後見人が行うのが普通なので、死亡までというのがどこまでを指すか細かく確認したほうが良いでしょう。

③身体的侵襲を伴う高度な医療行為への同意権は後見人にはありません。他の親族がいないのであれば、何かの折に介護素人さんが同意を求められる可能性は高いと思われます。

以上を整理すると、職業後見人を依頼した場合、介護素人さんが関わる必要のあるものは医的侵襲の同意と死後の身辺整理の一部程度なのではないかと考えられます。
 法律上の親族とはいえ、全く面識のない人に何もかも負わせるなんてことはありえないので、自分のできる範囲とやらなければいけない事柄をよく整理して、再度関係者の方と協議をしていくのが良いのではないでしょうか。
 その際、できないこと、やりたくないことははっきりと伝えることが必要です。
 もちろん後見人をたてなかったり、自分が後見人となった場合は介護素人さんが関わる範囲は一気に増えてしまいます。

 後見人の職種については、財産管理も含めての事案ですが紛争性は低いので、司法書士が一番適任かもしれませんね。

 お互いにとっていい方向に話が進むといいですね。

日時: 2010/09/24 22:31
名前: 介護素人

ありがとうございます。
大変参考になりました。

 蛇足になるかもしれませんが
 今後の方針について担当者と協議した結果、成年後見については職業後見人のほうで利用をすることにしました。

 裁判所のほうへの申請手続き&候補者については包括支援センターの方で専門の機関(リーガルサポート)に依頼をかけてくれるそうです。
月々の報酬が候補者を社会福祉士から選んでおくと安いそうでしたが、その資格について質問したところ財産管理についての専門家というわけでもなく何をする人なのかいまいちわからなかったので司法書士の方を選びました。
 ちなみに包括支援センターの人も社会福祉士と名乗っていましたが、やはり何をする職業なのかはっきりしないということでした。
(社会福祉士会へ相談した時の対応も尾を引いています)

 病院の方はすぐにでも退院できる状態だそうですが、現状では本人の住民票がどこの市町村にあるのかも不明、介護保険の申請もままならない状態だそうですので少なくとも住むところが決まり行政への手続きが完了するまで置いてもらおうと思い、相談したところ転院先を探すという答えなので任せることにしました

 後見人選任までに退院が決まると住民票の移動や家探し、手続き全般が私の仕事になる模様なので一度自分の地域に帰り、対策を考えたいと思います。

 明日でひと段落すると思うと天にも昇る気持ちです。関係している方には悪いですが一向にまとまらない話し合いに付き合わないで済むと思うとうれしくなります。

masa様、ルーキー様 貴重なご意見ありがとうございました。
以上。
 親族とはいえ終活をやらされる側の甥子さんには大変な社会勉強でした。

 件の一面広告にも「人生90年の生活設計を」、「エンディングの計画」、「人生終局の意思実現へ」の大見出しがありますがみな同じことです。思っても見ない長生きに皆さん立ち往生している現実があります。
 反対に私の元上司、友人、知人らは多くは70歳までに亡くなっています。他の人も80歳前後までに続々亡くなっています。そのようにして周囲の人が亡くなり、孤独になっていくわけです。だから常に新しい人間関係を切り開いてゆく努力もありでしょう。
  ”風生と死の話して涼しさよ”    高浜虚子
 お二人のように飄々と死んで行きたいものです。