中国の賃上げが日本のデフレ脱却へ2012/04/19

 4/19のロイターの大見出し「中国賃上げは長期的に日本に影響と日銀副総裁、デフレ圧力緩和か」とある。他紙は採りあげていない。
 1人勝ちしてきたユニクロはすでに中国の賃上げを「中国リスク」として2010年ころから他のアジア諸国へ工場を移し始めている。ユニクロの業績の推移を見ると、1992年に143億、2002年に3441億、2012年は9415億であった。中国の人件費の恩恵をもっとも享受できた会社だろう。日本の消費者は衣料費を安く済ませられたが肝心の就職難では話にならない。メリットは悲喜こもごもである。功罪相半ばか。
 バブル崩壊が1989年で以来、1991年から10年デフレが始まった。その間に公共事業や金融緩和など多くの政策が発動されたが功を奏してこなかった。新たに20年デフレと言われる。
 一方、消費税法は1988年に成立、1989年4月1日から3%の税率でスタートした。1997年4月1日に5%にアップ。2014年に8%、2015年に10%が審議中である。
 日中国交正常化が一段と進んだのが1990年代になってからだった。トヨタも2000年に合弁会社を設立を果たす。1972年の正常化交渉から20年も経過していた。
 不十分なデータであるが日中国交正常化が一段と進んだ1990年前後の出来事が重なってデフレが進行したと理解される。中国の経済発展は日本の経済・財政悪化と反比例している。(ソ連の崩壊も1991年のことだった。)
 1990年代、人件費の安い中国へと雪崩をうって工場進出していった反面で日本の雇用機会が失われた。賃下げになった。モノが売れない。デフレスパイラルに陥った。個人的には給与が十数年上がらなかった。公務員と海外進出で成長できた大会社だけは給与アップがあり、中小企業との賃金格差が開いた。
 構造不況とも言われた。日本の財政悪化は日本企業が我先に中国に進出していった結果である。
 中国の賃上げが始まるようだと物価が上がる。インフレになる。日本等の外国の企業が工場を引き上げると生産力が落ちる。モノ不足となってインフレが加速する。金利アップですでに不動産は値下がりしているという。中国バブル崩壊は始まっているようだ。
 日本に工場が戻ってくるだろうか。戻る政策を敢行する時期が来ている。日本に工場を建てれば進出先の海外資産の撤退にともなう費用を全額損金処理できる、日本工場建設に低利の金融をつける、10年間は減価償却の特別償却を認めるなど色々ある。法人税率をいじらなくてもいい。
 再びロイターの記事である。
 ”西村副総裁は、中国政府が製造業を重視した政策を進めた結果、「農業にある種のしわ寄せが来ており、わずかな気候変動の影響で豚肉や野菜の価格が変動する」と指摘。このため「足元さまざまな賃上げが起きている」とし、「中国のインフレ傾向を十分注意し、見ていく必要がある」と強調した。
 さらに「中国と日本の経済は単にモノの輸出入でつながっているのでなく、企業立地を通じて、長期的に(日本での企業の)賃金などの決定プロセスにも影響してくる」との見方を示した。”とある。
 これからの工場進出は中国にもメリットはないだろう。最新のニュースでも富士重工業の中国工場は認可が下りなかったことが報じられた。世界有数の自動車会社が競合し、過当競争が始まっているのである。製品の輸出で対応するそうだ。
 日本経済に仕事が戻ってくれば消費税も上げなくて良い。日中はほどほどの距離をおいて交流することが望ましいと歴史が教えている。一衣帯水の国だから近づき過ぎないほうが良い関係を保てるのである。仲の良い兄弟でも結婚し、子をもうけて独立すると段々仲が悪くなる。特に相続になると骨肉の争いになる。
 今の日中関係を傍観者的に観察しているとそう想う。最近太平洋戦争の真の勝者はスターリンだったとする見方の本を読んでおるがホントにそう想う。スターリンのお陰で中国に進出してしまい、戦乱に巻き込まれた。また変な方向に飛びそうなのでここで止める。

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