離婚相談2016/03/10

 午後、予約のあった来客を迎える。相談の内容は離婚の際の財産分与だった。夫婦関係の破局に至るまではお互いに気がつかないままにすれ違いの生活から来る。育児や家事など家庭のことは妻に任せた、夫の仕事は関与しないまま長い年月が過ぎる。単身赴任でコミュニケーションがとりにくくなると、妻は夫を会社人間といい、夫は妻が家事を投げた、と不信を抱く。そのうち夫は定年退職するのだが今更家族関係は復旧できない。結果、これまでの夫婦関係の清算に思いが至る。

 どちらがどれだけ悪いということではない。親はなくとも子は育つ、というものの、男の子の成長期には父としての自覚が絶対に必要である。ダメ親父でもいいから子と接触が必要だった。満たされない思いが母へのDVとなる。単身赴任の弊害である。

 単身赴任の歌人・浅野梨郷は家族を思って詠む

 さびしさはかたときならず相わかれともに生きむと相つとめつゝ(ひとつのともし火)

 独り身の生活に耐え切れず、会社を辞めて家族との生活に復帰。片や会社への帰属意識が強すぎて家族を犠牲にしてまで働く日本の会社員。

 聞いてゆくうちにお互いに冷静に協議離婚の話し合いなど無理、紛争になる恐れがあるかな、と判断。家裁の調停の手続きに進むことになると、当職では出来ないので、中途で知人の弁護士に電話した。依頼人を同行して弁護士事務所に行く。幸い、先客が終わったのですぐに相談に入れた。家裁では調停委員を務められたので、質問も具体的で実務に即して、核心的な問答が続く。
 最後は陳述書の書き方の話で締めくくる。依頼人も他で無料相談を聞いて勉強はしてこられたのだが、具体的な手続きには至らない。話し終わって、「問題解決に向かって具体的に動き出した」と感想を漏らす。良い先生に当ったのである。離婚は不幸なことだが、悩みを抱えたままでは生きてゆけない。糸口はつかんだので頑張って手続きを進めて欲しい。そう思う。

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