複式の授業に炙る寒の餅 澤田宏2016/03/31

 表題の俳句は先だって送られてきた俳句雑誌の一句。作者は富山県に近い宝達山の麓で農業を生業とする高齢の俳人である。複式というのは複式簿記のことである。授業を受けながら餅を炙る。おそらく外は深い雪。農閑期の今を利用して学習する必要に迫られている。
 http://y-ninaite.jp/ninaite/qa/qa-50
 かつての農業は血縁を中心に地縁の強いコミュニティに支えられてきた。時代を追って、高齢化、少子化、過疎化、相続で農地、農村を維持しがたい。そこで営農組合が生まれ、国から補助金が個々に配られてきた。それも限界にきて広域にまとまる法人化が国策になった。個人経営から法人にして経理を一元化する狙いがある。

 この俳句は法人化申請を前にして必須の専門知識となる複式簿記の研修を受ける一こまである。

 例えば
 500000 機械    機械を購入  普通預金  500000
1000000 普通預金 国から補助金入金 国庫補助金受贈益 1000000
 500000 圧縮損  圧縮記帳       機械     500000
  50000 減価償却費 定額法10年均等償却 機械減価償却費累計額 50000

 こんな煩雑な会計処理をしなければならない。会計ソフトの利用に慣れるのも一苦労である。加えて消費税、法人税、地方税などの税務もある。法人化もメリットだけではない。複式簿記のスキルが役立つなら、宮沢賢治じゃないけれど行って励ましお手伝いしたい。

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