エコノミークラス症候群2016/04/19

読売新聞から
 前略。熊本県を中心に相次いでいる地震で、大規模な土砂災害が起きた同県南阿蘇村では、19日も安否不明者の捜索・救助活動が行われ、新たに2人が見つかった。

 うち女性1人の死亡が確認され、一連の地震による死者は計45人となった。避難所が満杯だったり、余震で建物内にいるのが怖かったりという理由で車に泊まる人も多く、熊本市などは19日、車中泊をしていた女性1人が肺塞栓そくせん症(エコノミークラス症候群)で死亡したと明らかにした。以下略
以上

 エコノミークラス症候群は目新しい用語ではないが、なぜか、被災者の車中泊との関連でこのところ露出頻度の高い語彙になった。

 改めて専門家の解説を調べると

 飛行機で長時間旅行したあと、飛行機を降りて歩き始めたとたん、急に呼吸困難やショックを起こし、ときには亡くなることもある-。これが「エコノミークラス症候群」と呼ばれる病気の典型的なケースです。

 最近テレビや新聞などで、これまで健康だった人が突然死を起こす病気の一つとして時々取り上げられていますので、この病気の名前を聞いたことがある方も多いと思います。

 飛行機のエコノミークラスで旅行すると、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられることが多く、足の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血の塊(静脈血栓)ができることがあります。この静脈血栓は歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を閉塞してしまいます。これがエコノミークラス症候群です。怖い病気として1980年~1990年ごろから有名になりました。

 この病気はエコノミークラスの乗客だけでなく、ビジネスクラス以上の乗客や、車の長距離運転手などにも発症することが知られてきましたので、「旅行者血栓症」とも呼ばれています。

 ところで、医学的に足や下腹部の静脈に血栓ができる病気は「深部静脈血栓症」<図1>、この血栓が肺に飛んで肺の血管を詰めてしまう病気には「急性肺血栓塞栓症」という病名がついています<図2>。この「深部静脈血栓症」と「急性肺血栓塞栓症」は、一つの病気の異なった二つの側面を見ているだけですので、最近はまとめて「静脈血栓塞栓症」と呼ぶことも多くなっています<図3>。「エコノミークラス症候群」は、長時間の飛行機旅行によって引き起こされた「急性肺血栓塞栓症」のことなのです。

予防法は

 エコノミークラス症候群の予防法は(1)航空機で長時間の旅行中、十分な水分を摂取する一方、脱水を招くアルコールやコーヒーを控えること(2)足を上下に動かすなど適度な運動を行うこと、とされています。席から出にくく、トイレに立つのもおっくうになりやすい窓側より、すぐに立って歩ける通路側の席にするのも予防のこつです。

 飛行機での旅行には余り縁がないが、自動車の車中泊でも起こりうることが分かった。新聞記事を読むと女性が多い。予防としては水分をこまめにとることが挙げられている。つまり、車内での不自由な避難生活の中でトイレにたつ不便と水の不足の両面から女性ほど水分摂取を控える蓋然性が高いことが伺える。

 校庭や公共のPでの車中泊ではトイレも不足がちだろう。古いテントでもあれば女性用に仮設トイレを設置してもらい、こまめな水分摂取とともに催したら用足しも迷わずできる環境が大切なようだ。