改正介護保険法可決2011/06/17

6/16 朝日新聞朝刊によると
 「15日の参院本会議で可決、成立した改正介護保険法では、介護が必要な人の在宅生活を地域ぐるみで支える態勢づくりをめざす。来年4月には、24時間対応の新しい訪問サービスを開始。認知症になった身寄りのない高齢者の権利を守るため、市民後見人を育成する方針も盛り込まれた。

 介護保険サービスの利用契約を結ぶ際、認知症の高齢者に代わって手続きをする成年後見人の制度は、2000年度に介護保険と同時に導入された。現在200万人を超える認知症患者は、25年には323万人まで増える推計で、親族のいない認知症高齢者の急増が予想される。
 一方、配偶者や子以外の後見人は4割で、ほとんどが弁護士や司法書士。厚生労働省は「報酬の関係で、弁護士など専門職の後見人が増えるのは考えにくい」と見て、市民後見人の育成に力を入れる。改正法では、市町村に育成や活用を促した。以下略。」
 大阪市では.4年前から市民後見に取り組んでいるようだ。「市民感覚で生活状況を見ることが出来る」のが良いという。そして報酬にも堀田力・さわやか福祉財団理事長の「人の財産はボランティアの仕事ではない」と仕事に見合う報酬を指摘する意見を記載。
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 キーワードの「市民後見人」とは
 親族がいない認知症の高齢者らの成年後見人になる一般市民のこと。財産管理や法的な契約を、本人に代わっておこなう。家庭裁判所による選任を受ければなれるが、普及は進まず、厚労省によると全国で200人程度しかいないとされる。
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 日本行政書士連合会の成年後見制度への取り組みはこの改正法の方向を後押しすることになるかもしれない。
 弁護士も司法書士も11年前の発足当時から真摯に取り組まれてきたようであるが報酬がネックになって普及が進んでこなかった、と聞く。
 一方、日行連では昨年、「一般社団法人コスモス成年後見センター」を発足させて現在、全国的な研修と支部発足の準備を進めている。30時間の研修と考査を経て入会する。全国で41000人の1割でも取り組めば大きな力になる。
 未組織の市民後見人の悩ましいことは被後見人の家族ともめた場合であろう。行政書士の場合はトラブルに備えて損害賠償保険にも加入する。
 行政書士は弁護士のように任意後見契約が発効する前は代理で法律事務はできないため一般市民と同じく制約が多かった。つまり一般市民と同じであるが法律隣接職の強みを生かして取り組みはじめたわけである。
 コスモス成年後見センターのHPから
 1.権利義務・事実証明に関する書類作成の専門家としての役割
地域偏在の少ない行政書士、地域密着度の高い行政書士が、その周辺業務である遺産分割協議書の作成や遺言書に係わる支援業務なども含め、権利義務・事実証明に関する書類作成の専門家として、成年後見制度に積極的に取り組む事こと。

 2.行政書士の社会貢献の実践
街の法律家を自負する行政書士が、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等の社会的弱者の権利を擁護する成年後見制度に積極的に関わり、地域の保健福祉行政に参画し、社会貢献を実践していくこと

 3.専門職後見人の偏在と不足
急速な少子高齢化を迎えている我が国において、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等の社会的弱者の権利を擁護する成年後見制度の普及は喫緊の課題であるが、専門職後見人の絶対数は不足しており、行政書士会が人材を育成し供給していく事が期待されていること。