成年後見人弁護士、横領容疑で逮捕 名古屋2011/06/16

朝日新聞、中日新聞などによると成年後見制度の関係者には大変ショッキングな事件が起きた。
 家族による財産侵害が問題になり、弁護士等に信頼が寄せられていたのに・・・。しかし、こんな事件が発覚すると当事者は何を信用して良いのか迷うだろう。
 宮内康二著『成年後見制度が支える老後の安心ー超高齢社会のセーフティネット』(小学館新書)のあとがきで「安定感では25歳の弁護士よりも50代の主婦、六十代の元会社員などの方が優る。これが人生経験であり、生活力である。」と書いている。まさにそのご指摘の通りの事件が表面化してしまった。
 折しも改正介護保険法が参院を通過した。市民後見人が推進される傾向が高まるに違いない。
 最近分かったことは20代、30代の弁護士では自分の生活がやっとであろう。多額の借金を抱えた弁護士も居ると報道されている。弁護士の業界は苦境にあるのだと推理する。

 「天知る地知る我が知る」を肝に銘じて取り組まなきゃね。
 研修では一に倫理、二に倫理だった。

以下は朝日の記事をコピー

 愛知県弁護士会に所属する弁護士H容疑者(35)=名古屋市千種区=が成年後見人の立場を悪用し、高齢の男性の預貯金1510万円を着服したとして、名古屋地検特捜部は16日、H容疑者を業務上横領、無印私文書変造・同行使の疑いで逮捕し、発表した。特捜部は同市中村区の弁護士事務所などを家宅捜索した。H容疑者は黙秘し、「弁護人と相談した上で話す」と話しているという。

 特捜部によると、H弁護士は2008年6月に名古屋家裁から同県内の男性の成年後見人に選ばれ、09年7月6日、銀行の定期預金を解約するなどして約160万円を着服。さらに同月22日~翌10年9月26日の27回、郵便局の通常貯金口座から計1350万円を引き出して着服した疑いがある。また、男性が死亡したのを受け、同年12月、横領行為を隠す目的で、解約した定期預金口座から普通口座に入金された年月日を改ざんし、解約した事実がなかったようにみせかけた通帳のコピーを添えた後見事務終了報告書を同家裁に提出した疑いがある。

岡本吏郎著『あなたの会社にお金を残す岡本式戦略帳簿のススメ』を読む2011/06/16

2004年アスコムから刊行された『あなたの会社にお金が残る裏帳簿のススメ』を2010年5月25日、『あなたの会社にお金が残す 岡本式「戦略帳簿のススメ」』と改題してソフトバンク文庫から出版された。
 気になる箇所を拾い読みしてみる。
 著者は制度でがんじがらめにされた役に立たない帳簿を形式帳簿と呼び、ほんとうに役に立つ自分のための帳簿を戦略帳簿と呼ぶ。

 形式帳簿とは税務会計で作成された決算書のこと。これを役に立たないという。稲盛和夫氏の著作にも減価償却の項で独自の考えを通して処理する必要性を説く文があった。
 
 この国の税制は基本的に取りやすいところから取る。税務会計では耐用年数を長くして資産計上に誘導している。そうすれば黒字になり、取りやすくなる。納税者の方も目一杯経費で落とせる支出はないか神経を尖らせる。

 本来は「ほんとうの決算書」と「税務署用の決算書」を作らなくてはいけない。アメリカでは2種類作られている。

 しかし、会計事務所が税法に基づいた決算書を作ってしまっているのだ。P39に図示している。銀行は税務署用の決算書で融資を決め、会計事務所は税法に基づいた決算書を作っている現実が決算書を骨抜きにした。

 P40から以降にはレストランの例を示すが『実学 経営と会計』(日経ビジネス文庫)の稲盛会計学でも法定耐用年数によらず、設備の物理的経済的寿命から判断して自主耐用年数を決めて償却を行うことにしたそうです。

 会計事務所はその「税金を計算するための数字」を耐用年数に使って決算書を作っているのである。それは面倒くさいから。もし、商法どおりに決算書を作っていたら会計事務所の仕事が倍になってしまう。それはとても無理な話だ。そこで、税金の計算用書類をそのまま「決算書」としているわけである。この弊害は大きい。

 成功する会社はその弊害にいち早く気付いて手を打ってきたのだ。稲盛氏のように。この感想はP75にも書いてある。

 国の言いなりになっていると会社を弱らせかねない。経営者は数字に強くなり、自分の意思で経営することだ。疑問をもち、どんどん会計専門家に質問することだ。特に資産の減価償却、棚卸資産など経費化を遅らせる資産に注目すると経営の勘所が見える。

 かつて経営危機に陥っていた日産自動車にカルロス・ゴーンが乗り込んでやったことは徹底した資産売却だったことを思い出す。現金化して流動性を取り戻すこと。ルノーの増資で借金も返済した。身軽になってからの業績アップは目覚しいほど。

 経営者の考え方一つである。それは企業の規模の大小、国境を問わない真理。

 しかし、もっとも気になったのは次の言葉
「経理の安易なアウトソースはハイリスク」は真実だ。良心的?な会計事務所は自計化を勧めるようだ。ある程度規模が大きくなれば経理マンを雇うのだ。そして事務作業を移す。経営者の参謀役が務まるといい。

 今は経理代行を業としている立場である。単純な事務員感覚では単価の安い同業者にとられてしまう。付加価値をもつこと。このヒトでなければ・・・というオンリーワンの経理代行業が理想。