新公益法人移行問題 ― 2011/06/25
所属する社団法人日本山岳会の総会で議案が18日承認されたようだ。3月の総会で公益社団法人への移行が承認されており、これで長い間の新公益法人移行問題が解決の方向に向かう。
総会資料にある新定款と現行の定款を見比べるとおやおやと思った点が一つ。現行では5.海外登山の企画及び実施が新定款では6.国内及び海外における登山の企画及び実施、と変わった。他に2.登山技術の向上に必要な研究が追加されている。そして2 前項の事業は国内及び海外において行うものとする、と追記された。
日本と名がつく山岳会なのにこれまでは特に戦後、大学山岳部中心になってからは海外遠征に力点が置かれていた。日本山岳会に入会して国内の話をすることはない、と排他的に公言する理事もいた。
一方で自然の生物社会の多様性をうたうのに内部は実に閉鎖集団だった。新定款を練ったプロジェクトチームはそうした閉鎖性を打ち破ろうと温故知新で考えたのかな。
戦後の歴代会長と執行部がこれが登山だ、と海外に有らずば登山ではないと考えてきたのである。ヒマラヤの高峰を狙うことこそが崇高なアルピニスト精神と考えてきた。子供っぽい論理であった。
私など親のすねをかじって、或いは寄付をねだって海外遠征を成功させて何が崇高なものか、と思っていた。山は自分のカネであそぶことこそ清い。その共益的な山岳会の性質を外の世界の人にも分ち合って公益になる。
それで当初は一般社団の非営利と考えていたが一転して賛成し、委任状を送付しておいた。現定款の変更は会員数の四分の三以上の議決で成立するから必至で呼びかけをしていた。新定款では三分の二以上の議決に変わった。ハードルを低くしたようだ。
他に目に付いたのは現定款で会員資格を失う欠格事由に禁治産および準禁治産の宣告がある。
新定款では成年被後見人、被保佐人の審判に変更された。この段階までくると登山など危なくてできないから当然である。しかし、成年後見制度を利用していない認知症の会員はどうするのだろう。
裁判所の保佐開始のコピー。
「家庭裁判所は,精神上の障害によって,判断能力を欠く常況にある者については後見開始の審判を,判断能力が著しく不十分な者については保佐開始の審判を,判断能力が不十分な者については補助開始の審判をすることができます。
保佐開始の審判とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が著しく不十分な者(本人)を保護するための手続です。家庭裁判所は,本人のために保佐人を選任し,さらに,保佐人に対して,当事者が申し立てた特定の法律行為について,代理権を与えることができます。
また,保佐人又は本人は,本人が保佐人の同意を得ずに自ら行った重要な法律行為(借財,保証,不動産その他重要な財産の売買等)に関しては,取り消すことができます。」
一方、補助開始の審判は
「補助開始の審判とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が不十分な者(本人)を保護するための手続です。家庭裁判所は,本人のために補助人を選任し,補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について,代理権若しくは同意権(取消権)のいずれか又は双方を与えることができます。
補助開始の審判をするには,同意権の付与の審判又は代理権の付与の審判を同時にしなければならないので,申立人にその申立てをしていただく必要があります。
なお,本人以外の方の請求により補助開始の審判をするには,本人の同意を得る必要があります。」
もしも日本山岳会会員の任意後見契約をする場合は法定後見になるまで認知症が進行したら補助審判の開始までは会費を納付するが保佐開始の審判の段階で会員資格を失うために退会の手続きをする旨契約内容にうたう必要がある。
日本山岳会は昭和16年に社団法人になっている歴史ある団体である。この度の新公益法人改革に迷惑気味の感覚が強かった。天下り役員が高額の報酬を得る温床になっている事例があり、現在洗い直している最中である。つい先日も解散した法人の報道があった。
日本行政書士連合会では3/4付けで新公益法人移行申請を促進する旨の通達がでている。行政書士として積極的に関わって支援するということである。
そこのデータによると
全国の移行申請状況
平成23年1月31日現在の申請状況(「公益法人information」より)
移行認定申請済み(公益社団・財団法人への移行)
1,889件
移行認可申請済み(一般社団・財団法人への移行)
588件
合 計
2,477件
全国公益法人約25,000法人中、わずか10%の申請率
今後1年間は申請ラッシュか。
総会資料にある新定款と現行の定款を見比べるとおやおやと思った点が一つ。現行では5.海外登山の企画及び実施が新定款では6.国内及び海外における登山の企画及び実施、と変わった。他に2.登山技術の向上に必要な研究が追加されている。そして2 前項の事業は国内及び海外において行うものとする、と追記された。
日本と名がつく山岳会なのにこれまでは特に戦後、大学山岳部中心になってからは海外遠征に力点が置かれていた。日本山岳会に入会して国内の話をすることはない、と排他的に公言する理事もいた。
一方で自然の生物社会の多様性をうたうのに内部は実に閉鎖集団だった。新定款を練ったプロジェクトチームはそうした閉鎖性を打ち破ろうと温故知新で考えたのかな。
戦後の歴代会長と執行部がこれが登山だ、と海外に有らずば登山ではないと考えてきたのである。ヒマラヤの高峰を狙うことこそが崇高なアルピニスト精神と考えてきた。子供っぽい論理であった。
私など親のすねをかじって、或いは寄付をねだって海外遠征を成功させて何が崇高なものか、と思っていた。山は自分のカネであそぶことこそ清い。その共益的な山岳会の性質を外の世界の人にも分ち合って公益になる。
それで当初は一般社団の非営利と考えていたが一転して賛成し、委任状を送付しておいた。現定款の変更は会員数の四分の三以上の議決で成立するから必至で呼びかけをしていた。新定款では三分の二以上の議決に変わった。ハードルを低くしたようだ。
他に目に付いたのは現定款で会員資格を失う欠格事由に禁治産および準禁治産の宣告がある。
新定款では成年被後見人、被保佐人の審判に変更された。この段階までくると登山など危なくてできないから当然である。しかし、成年後見制度を利用していない認知症の会員はどうするのだろう。
裁判所の保佐開始のコピー。
「家庭裁判所は,精神上の障害によって,判断能力を欠く常況にある者については後見開始の審判を,判断能力が著しく不十分な者については保佐開始の審判を,判断能力が不十分な者については補助開始の審判をすることができます。
保佐開始の審判とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が著しく不十分な者(本人)を保護するための手続です。家庭裁判所は,本人のために保佐人を選任し,さらに,保佐人に対して,当事者が申し立てた特定の法律行為について,代理権を与えることができます。
また,保佐人又は本人は,本人が保佐人の同意を得ずに自ら行った重要な法律行為(借財,保証,不動産その他重要な財産の売買等)に関しては,取り消すことができます。」
一方、補助開始の審判は
「補助開始の審判とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が不十分な者(本人)を保護するための手続です。家庭裁判所は,本人のために補助人を選任し,補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について,代理権若しくは同意権(取消権)のいずれか又は双方を与えることができます。
補助開始の審判をするには,同意権の付与の審判又は代理権の付与の審判を同時にしなければならないので,申立人にその申立てをしていただく必要があります。
なお,本人以外の方の請求により補助開始の審判をするには,本人の同意を得る必要があります。」
もしも日本山岳会会員の任意後見契約をする場合は法定後見になるまで認知症が進行したら補助審判の開始までは会費を納付するが保佐開始の審判の段階で会員資格を失うために退会の手続きをする旨契約内容にうたう必要がある。
日本山岳会は昭和16年に社団法人になっている歴史ある団体である。この度の新公益法人改革に迷惑気味の感覚が強かった。天下り役員が高額の報酬を得る温床になっている事例があり、現在洗い直している最中である。つい先日も解散した法人の報道があった。
日本行政書士連合会では3/4付けで新公益法人移行申請を促進する旨の通達がでている。行政書士として積極的に関わって支援するということである。
そこのデータによると
全国の移行申請状況
平成23年1月31日現在の申請状況(「公益法人information」より)
移行認定申請済み(公益社団・財団法人への移行)
1,889件
移行認可申請済み(一般社団・財団法人への移行)
588件
合 計
2,477件
全国公益法人約25,000法人中、わずか10%の申請率
今後1年間は申請ラッシュか。