成年後見制度 不正防止こそ最優先で2016/04/15

グーグルアラーとにヒット。
信毎WEBの社説から

 認知症などで判断能力が十分でない人を支える成年後見制度で、後見人による預貯金の着服といった不正が後を絶たない。最高裁の調査でその実態があらためて浮き彫りになった。

 弁護士や司法書士ら専門職による不正は昨年、過去最多の37件確認された。被害総額は1億円を超す。親族らを含む後見人全体では521件、29億7千万円だった。前年より件数、被害額とも減ったとはいえ、依然として多い。

 制度自体が信頼を失いかねない状況である。高齢化の進展を踏まえて、成年後見の利用促進を目指す新法が今国会で成立したが、その前提として、不正防止に最優先で取り組む必要がある。

 介護保険制度とともに高齢社会を支える両輪として2000年に導入された制度だ。家裁が選任した後見人が、本人に代わって財産の管理や契約などを担う。

 独居の高齢者の増加などを背景に、親族以外の弁護士ら第三者が後見人になることが増え、全体の半数以上を占める。不正があっても家族らが気づかなければ発覚しにくいため、表に出るのは氷山の一角と指摘されている。

 悪質な事例も目立つ。名古屋地検が先月、業務上横領罪で在宅起訴した元司法書士は、高齢者4人の口座などから計6千万円余を着服し、高価な時計や洋服の購入に充てていたとされる。

 不正が相次ぐのは、家裁の人員が足りず、後見人への監督が行き届かないことが最大の要因だ。被害を防げなかった家裁の責任を問う訴訟も各地で起きている。

 制度の普及も進んでいない。認知症の高齢者が460万人に上るのに対し、成年後見を利用する人は14年末で18万5千人ほどだ。

 新法は、利用促進に向けて後見人の担い手育成や監督の強化を柱に据えた。首相を長とする会議を設置して基本計画を策定し、3年以内に必要な法整備をする。

 後見人に、手術など医療行為への同意権を認めるかも課題となっている。けれども、後見人による不正が横行するままでは、権限の拡大など図りようもない。

 認知症のお年寄りは今後さらに増える。判断能力が衰えても、本人の意思や権利を十分尊重し、生活を支える仕組みとして、後見制度を確かなものにしたい。

 不正防止のため監督体制をどう強化するか。家裁の人員の充実とともに、自治体との連携や、家裁とは別に監督組織を設けることを含めて、抜本的な制度の見直しを検討すべきだ。 (4月14日)
以上

 このところ成年後見制度に関する記事が多い。メディア各紙が競い合って採り上げている。それだけに将来の深刻な状況が予想される。政策が促進されるように利用促進法も成立。大きなうねりを感じている。当職でもできることはないか、提言していきたい。
 昨日も後見事務の監査を受けるべく、監督人の司法書士に会うなり、同業の司法書士の横領の話になり、がっくりしていた。同業の犯罪に脱力感を隠せなかった。その人は報酬が少なくとも社会貢献の大義で頑張っているのである。
 一つは士業への認識を改めることだ。難しい試験をパスしたから人間的に信頼がおけるということは絶対にない。司法試験、司法書士、行政書士などの試験に倫理の問題はない。あっても意味はない。これだけは実務を観察するしかない。法律知識があるから人間的に信頼できることはないのである。国家試験合格者は人間性まで担保していない。
 ではどうするか。
 小人閑居して不全をなす。君子は独りでいる時に必ず慎み深くするが,小人は他人の目がないと悪い事をする、ということ。インフォーマルグループとフォーマルグループに所属させて、全人的な交流を通じて観察をできる機会をつくるしかないのではないか。

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