財産調査 ― 2016/09/02
終活ともなると依頼主の心も千路に乱れるのであろう。
公正証書遺言の話から遺産分割協議書の案へと依頼主の考えが変わった。まだ死んでもいないのに遺産分割協議書はない。その心は財産目録の作成であった。財産は基本的にはこのまま順調に自分が死ねば妻に渡したい。子には保険もあるし、現金は若干で良いとしたい。何分、女性の寿命は男性より5年以上も長い。しかし、90歳に近付けば、どちらでもせいぜい1年以内に死んでしまう。身近にもそんな事例があった。女性の寿命の長さを実感するのは夫が80歳前後で亡くなる場合である。
世に喧伝される争う相続も夫(父)の死まではそんなに深刻ではない。妻、つまり母の死後、子供たちだけになると連れ合いからの助言も入り混じって争う相続が予想される。
それに、順調に順番に死ねるかどうかは誰にも分からない。妻や子に先立たれることもある。自宅が焼失、損壊することもある。その変更の余地を残しておきたいのである。それなら自分でやれそうなものであるが、法的に有効な文書を整えたい希望で行政書士に依頼された訳である。
それで財産調査の書類が整ったので見せてもらうと増築部分の未登記の物件が出てきた。更に固定資産税が旧家屋のままの課税であった。非常にまめに屋外調査をしているように見えるが有能な公務員でも見落としもあるのだ。
かつて、奥三河の落目山に登った。山名の由来は山麓の田地田畑が検地の際に役人の目から落ちたので年貢を納めていなかった。地元では目落ちとダイレクトに言えないので隠語として落目山と呼んだという。寿司ネタのネタは寿司だねのことというごとく。
不動産登記法では表示登記を義務付け、罰則まである。ザル法とまでは言えないが、法令順守のやかましい現代でもまさに役人の目から落ちた不動産があると知って驚く。教科書的には未登記物件ということになる。ググってみるとこれが案外多いことに二度びっくりした。幸い大工に聞いてもらうと図面は残っていたので、未登記として別記してそのデータを転記することになる。
但し、子らはすでに自宅を構えている。親と同居することはないだろう。未登記の建物を残したまま転売することは所有権移転登記の手続きもあるので出来ない。古いので土地の評価しかない。建物を解体して更地にして売却すれば登記は逃れられる。
しかし、これも本人が認知症になれば子に正確に伝えられず、トラブルのタネを残すことになろう。相続後、子がうっかり役場に事の子細を打ち明けると藪蛇になる。役場に相談すると煩雑な手続きと余計な出費で苦労することになる。そんなわけで登記を勧めているのだが。
公正証書遺言の話から遺産分割協議書の案へと依頼主の考えが変わった。まだ死んでもいないのに遺産分割協議書はない。その心は財産目録の作成であった。財産は基本的にはこのまま順調に自分が死ねば妻に渡したい。子には保険もあるし、現金は若干で良いとしたい。何分、女性の寿命は男性より5年以上も長い。しかし、90歳に近付けば、どちらでもせいぜい1年以内に死んでしまう。身近にもそんな事例があった。女性の寿命の長さを実感するのは夫が80歳前後で亡くなる場合である。
世に喧伝される争う相続も夫(父)の死まではそんなに深刻ではない。妻、つまり母の死後、子供たちだけになると連れ合いからの助言も入り混じって争う相続が予想される。
それに、順調に順番に死ねるかどうかは誰にも分からない。妻や子に先立たれることもある。自宅が焼失、損壊することもある。その変更の余地を残しておきたいのである。それなら自分でやれそうなものであるが、法的に有効な文書を整えたい希望で行政書士に依頼された訳である。
それで財産調査の書類が整ったので見せてもらうと増築部分の未登記の物件が出てきた。更に固定資産税が旧家屋のままの課税であった。非常にまめに屋外調査をしているように見えるが有能な公務員でも見落としもあるのだ。
かつて、奥三河の落目山に登った。山名の由来は山麓の田地田畑が検地の際に役人の目から落ちたので年貢を納めていなかった。地元では目落ちとダイレクトに言えないので隠語として落目山と呼んだという。寿司ネタのネタは寿司だねのことというごとく。
不動産登記法では表示登記を義務付け、罰則まである。ザル法とまでは言えないが、法令順守のやかましい現代でもまさに役人の目から落ちた不動産があると知って驚く。教科書的には未登記物件ということになる。ググってみるとこれが案外多いことに二度びっくりした。幸い大工に聞いてもらうと図面は残っていたので、未登記として別記してそのデータを転記することになる。
但し、子らはすでに自宅を構えている。親と同居することはないだろう。未登記の建物を残したまま転売することは所有権移転登記の手続きもあるので出来ない。古いので土地の評価しかない。建物を解体して更地にして売却すれば登記は逃れられる。
しかし、これも本人が認知症になれば子に正確に伝えられず、トラブルのタネを残すことになろう。相続後、子がうっかり役場に事の子細を打ち明けると藪蛇になる。役場に相談すると煩雑な手続きと余計な出費で苦労することになる。そんなわけで登記を勧めているのだが。