諸君!名刺で仕事をするなー扇谷正造2012/10/20

 表題は朝日新聞記者から1947年に週刊朝日編集長になり、発行部数10万部から100万部にした名編集長、週刊誌の鬼ともと言われた扇谷正造(1913-1992)の言葉である。もし存命なら、今回の事件を見て、嘆くだろうなあ。いやいや、世間の反響の大きさに驚き、草葉の影から飛び出して、叱りつけるだろう。そうして欲しいものである。
 この場合の諸君とは、もちろん、週刊朝日の当事者たる記者であり、親会社の朝日新聞の記者も含む。チエックする編集長も当然である。
 天下の朝日新聞の名刺を出せば、一目置かれて、取材も協力的になるだろう。それは過去にいい仕事をして信用を築いたお陰である。だからといって、今回の非常に逸脱した取材と掲載記事は異常であった。そこまで書くのかと思った。昨年の週刊文春以上であった。
 今回、何かといえば、人権思想を振りかざして、社会の正義を標榜してきた朝日新聞にあるまじき記事であったことを認めるに至った。朝日新聞社員である前に社会人としての常識と教養が必要である。ユーチューブでの橋本市長と朝日新聞の記者とのやり取りを見ていると、その条件を持たしているとは思えない。まずはトップが模範を示すことだ。
 ユーチューブの橋本発言の中に朝日新聞に廃刊を勧める過激なものもあった。そうしたことが伏線になっているとしても、余りにも幼稚な記事だったとの思いは否定できない。意趣返しならばもっとユーモアをもってスマート(賢く)にやり返すべきだろう。高級紙に従事する記者の矜持を持つべきだろう。

WEB版朝日新聞が謝罪を掲載。
「朝日新聞出版は19日、同社発行の「週刊朝日」が10月26日号に掲載した、ノンフィクション作家・佐野眞一氏らによる橋下徹・大阪市長に関する連載記事「ハシシタ 奴の本性」について、同和地区などに関する不適切な記述が複数あったことを理由に、第2回以降の中止を決めた。

 河畠大四・週刊朝日編集長がコメントを出して連載中止を発表するとともに、改めて謝罪した。河畠編集長は18日の談話でおわびをし、週刊朝日の次号に「おわび」を掲載する考えを表明していた。

 また、筆者の佐野氏は19日、「今回の記事は『週刊朝日』との共同作品であり、すべての対応は『週刊朝日』側に任せています。記事中で同和地区を特定したことなど、配慮を欠く部分があったことについては遺憾の意を表します」とのコメントを出した。

 橋下市長は18日の記者会見で、週刊朝日の連載記事について「僕の人格を否定する根拠として、先祖や縁戚、DNAを挙げて過去を暴き出していくのは公人としても認められない」と批判していた。

■週刊朝日編集長 改めて深くおわび

 《河畠大四・週刊朝日編集長の話》 第1回の連載記事中で同和地区などに関する不適切な記述が複数あり、このまま連載の継続はできないとの最終判断に至りました。橋下徹・大阪市長をはじめとした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます。不適切な記述を掲載した全責任は当編集部にあり、再発防止に努めます。本連載の中止で、読者の皆様にもご迷惑をおかけすることをおわびします。

■朝日新聞社、深刻に受け止め

 《朝日新聞社広報部の話》 当社は、差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いています。当社から2008年に分社化した朝日新聞出版が編集・発行する「週刊朝日」が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下徹・大阪市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています。 」