3.11被災者の相続放棄の特例を議員立法へ2011/06/07

6.7の朝日新聞朝刊の記事から
「東日本大震災で家族を亡くした被災者が「相続放棄」の判断を迫られている問題で、民主党は6日、議員立法で民法の特例をつくり判断期限を延長する方針を固めた。11月末までの延長を軸に検討している。

 民法では、相続を放棄する判断をせずに3カ月が過ぎると自動的に相続してしまう。大震災から11日で3カ月を迎えるため、死亡した家族の借金を被災者が知らぬ間に相続してしまう恐れが指摘されている。

 民主党の原案では、被災者の仮設住宅への入居が一段落する8月末までは、相続について考えることは難しいと判断。そこから3カ月後の11月末まで放棄ができる期間とする。震災前の昨年12月11日以降に家族を亡くした被災者も、震災時が相続放棄の判断期間中だったことを考慮し、11月末まで判断を猶予する。 」
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 ちなみに相続の手続きには期限はない。負債の部分は銀行などの金融機関が存在している。銀行側から見ると不良債権になるか回収できるかの重要な判断になる。
 遺族にとっては青天の霹靂の渦中にある。他にも配慮するべきことがあるはずだ。与党は遅滞なく手をうって欲しいものだ。

供託とは2011/06/07

 名古屋市議で減税日本所属だった則武市議が6日議員辞職した。理由は費用弁償を受取拒否して供託してあった供託金を受け取って消費していたというもの。

 今朝の中日新聞には
「しかし2日の記者会見で、法務局に供託していた7年分の536万円のうち、360万円を借金返済や選挙費用に充てたと説明。1日の本紙の取材には「金は一切手を付けていない」と虚偽の発言をした。」

 この記事だと則武市議が一旦受け取って供託したかに読める。実際には名古屋市側が供託する。名古屋市としては払うものは支払いました、という制度である。則武市議には受け取る権利があるのだから何が問題かといえば・・・・。

 もともと権利があるのに拒否したが家計の逼迫からやむを得ず受け取っていた。理由が何であれここまでは法的に問題はない。
 拒否することを旗印にして議員活動をしてきたからには公約違反だ、変節したと騒がれてしまった。いわば政治倫理の問題だ。
 そもそも費用弁償とは何だったのか検索で探してみたら現職市議の「斉藤亮人氏(さいとうまこと)(民主)」のサイトに説明があったのでコピーした。彼も受取拒否しているようだ。
 この制度は今年廃止された。その意味では念願かなったり、だがタイミングが悪かった。
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 費用弁償(出席手当)
 本会議や委員会に出席すると1日1万円(03年3月までは1日15,000円でした)が支給されます。議会で活動するのが仕事なのに仕事に出て行くと手当がもらえるという、二重取りの費用弁償は必要ありません。この費用弁償を支払う根拠として、食事代、交通費、通信費、文房具台などの実費がかかるからというのですからあきれてしまいます。

 しかし、この出席手当、いらないからと名古屋市に返還しようとすると、議員の寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触するというのです。実際受け取り拒否をされている議員の方がいますが、名古屋市はその金額を供託にしています。供託はそのままにしておくといずれ国のお金になってしまいます。私は名古屋市のお金は名古屋市に戻した方がいいという考えで、受け取った出席手当を使わずに貯金していて、議員でなくなった時に名古屋市に寄付しようと思っています。2005年8月現在約360万円ほど貯まっています。
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 この趣旨で則武氏も寄付のつもりだったことは疑いない。
 残念だが「天知る地知る我が知る」を貫けなかった人間的な甘さは否めない。何より河村市長の無念は計り知れない。減税日本を支持してきた有権者も残念に思う。

IT事始め⑥2011/06/07

         激安会計ソフトでも使える
 簿記会計のシステムはどこが作っても同じ決算書になる。原理が同じだから差別化が難しいのだ。ならば安いほうがいい。
 ちなみに当事務所では開業時から㈱ピクシスのわくわく財務会計2プロフェショナルを利用中。会社はもちろん、個人でも使える。インターネット経由で買える。
 サポートはメールのみ。操作で行き詰ったときにすぐ電話でやり取りしたいができない点が今一ウィークポイントだろう。ただしバージョンアップを頻繁にしないからローコストを維持できる原因にしている。
  顧問先ではPCAを採用。ずっと利用しないだろう、使い切れない機能を満載している。おそらく発売当初はシンプルな機能だったと思うが顧客を増やしていく過程で多機能化をはかっていった結果だと思う。マニュアルも分厚いので目的のページを探すのが大変だ。慣れるまでは苦労するだろう。
 比較するとPCAは高価だが電話でサポートするサービスがある。しかしバージョンアップ費用は高い。その値段でピクシスのソフトが買えてしまう。悩ましい選択である。どちらかといえば資金調達も多様、仕入先、得意先も多い、工場がある、本支店がある、といった複雑な会計取引が多い中企業向きかなと思う。
 価格はピクシスの14280円から有名な弥生会計は40000円~、PCAは157500円とさまざまである。

大村大次郎著『悪の会計学』を読む2011/06/08

 双葉新書。2011.2.20発刊。あとがきによると著者は国税局に10年間勤務後フリーライターで活躍。とある。過去に300社超の企業の決算書を読み解いてきた経験から裏金つくり、会計操作、利益隠しという搦め手の本であるが実用性はあるのかな・・・。
 検事を辞めて弁護士になるとヤメ検と呼ぶらしいが国税の場合はどうなんだろう。つい先月にも国税OB税理士の犯罪が継続的に報道されていた。法の裏をくぐって有利にことを運ぶにはリスクも多い。さてこの本はまず内容を見てみよう。
 会計を知れば社会の裏側が見えてきます!とキャッチコピーが踊る。
 「はじめに」で会計学でもっとも大事な言葉として
脱税
裏金
粉飾決算
を挙げる。と経営者の本音のキーワードを引く。
 確かにこの三つの言葉は三位一体である。
 江戸時代、郡上一揆が起きた原因はまさにこれ。百姓はどこかに隠し田をもって年貢(納税)を少なくする。藩の役人も実際より少なく報告して上納する。ところが幕府の財政が逼迫すると厳しく取り立てるようになる。検地でお目こぼしをなくす。そうなると百姓も死活問題とばかりに騒ぐ。
 国、県や市町村の役人も隠し金を作るのは常識になっている。チエックの入らないカネは誰でも欲しいものだ。時代は現代においても同じこと。よく一揆が起きないものである。そのことはP119にも書いてある。
 さて会社の会計はどんな秘策があるというのか。
目次
第1章 決算書なんてどうにでもなる!
 合法的利益調整として減価償却の計上の操作を指摘している
第2章 会計の抜け穴
 やや作り話の気が無いでもない。
第3章 税務署と銀行のだまし方教えます
 粉飾決算が多い業種とは?のタイトルに引かれて読むとどうも公共事業関係の会社は受注を受けるために会社を大きく見せる粉飾をしているようです。
 中小企業の決算書が銀行から信用されないのは粉飾が多いからともいえます。本書にも監査法人を入れる必要のない中小企業は事実上野放しにされている、と喝破しています。
 新会計法上では会計参与を置くことになっているのですが実態は置いてない。置くだけの余裕もないのです。決算書の貸借対照表も公告するのですが実態としては放置ではないか。自社ホームページ上でいいことになっていますが儲かっていれば値下げ圧力、赤字ならば信用を落とす、いくら法令順守といっても徹底は難しい。
P99「大きな変動」、「利益率」に気をつけろ、とあります。重要です。
 これは私も体験があります。以前は無償支給していた材料を在庫管理が大変なので有償支給に切り替えました。これまでの在庫がゼロになり売掛金が急増したわけです。直感的に税務署に届けるべきと思っていましたが当時の会計担当者は顧問税理士にゲタを預けて知らん顔です。
 税務署だけでなく国税庁まで動き出したのでこちらも慎重に誠実に対応しましたがあら探しは無駄に終わりました。不正はやっていませんからね。責任者は胃薬の水をください、と私に言われたのでああもう終わるな、と安堵しました。
 野生動物は動く物を追いかける習性があります。税務当局も大きな変動には注目します。だから事前に会計処理の変更があれば届けるのが原則のはず。そのことはP103に税務調査のターゲットから逃れる方法にも指摘されています。変に当局を刺激しないことです。 
 他に裏金つくり、公私混同などの章がありますが一読してもサプライズも共感も得られませんでした。ちまちました策は策士策に溺れるの類で最初に指摘した国税OBの税理士のようにつまづきの元です。
 どうせなら会社は利益を出すことに知恵を絞りたい。悪知恵、浅知恵、猿知恵と知恵もいろいろ。「売上を最大にコストを最小に」知恵を使いましょうよ、ですね。

会計業務2011/06/09

 13:00~17:00まで顧問先で執務。支払準備のための事務に終始する。手形に印字、相殺用の領収書発行、振込依頼書の記入など。

会計業務2011/06/10

 9:00~17:00まで顧問先で執務。引き続き支払い準備に追われる。郵送用の封筒を作成し、相殺の領収書を封入しておく。
 次は先行して仕訳け伝票を起伝し、ソフトに入力した。買掛金残高、未払金残高をチエックしておく。労災保険の基礎資料作成も給与明細書からエクセルで集計する。
 他に契約書の細部の修正分を渡す。いざ交付前になると気付かなかった部分が見えてくるのだろう。普段は細かい神経を使うこともなく、信頼関係悪く言えば馴れ合いで過ぎていくから枕を高くして寝るためにも重要な書類である。

被災者の遺産・相続の手続き2011/06/11

 朝日新聞朝刊から
2面の「ニュースが分からん」のコラム記事の中で
被災者の遺産相続の手続きに触れた部分があった。法務省は7日から「死亡届」の手続きを簡素化したとある。以下にコピーする。

   御遺体が発見されていない場合でも死亡届を提出できます
平成23年6月7日   
 東日本大震災で被災された方で,御遺体が発見されていない方についても,死亡届を市区町村に提出できます。
  この場合には,次の書類を御用意ください。
 (1) 届出人の申述書(様式はこちら[PDF])
 (2) 死亡したと考えられる方の被災状況を現認した者等の申述書(様式はこちら[PDF])
 (3) 在勤証明書又は在学証明書等の死亡したと考えられる方が東日本大震災の発生時に被災地域にいたことを強く推測させる客観的資料
 (4) 死亡したと考えられる方の行方が判明していない旨の公的機関からの証明書等
 (5) 僧侶等が葬儀をした旨の証明書等のその他参考となる書面
 
市区町村の戸籍窓口で死亡届を受け付けてもらうためには,少なくとも(1)の書類を御用意いただく必要がありますが,(2)から(5)までの書面についても,可能な限り,御用意いただくようお願いします。

なお,死亡届が受理(戸籍に記載される)されると,相続が発生し,あらゆる法律関係を整理・清算する必要が生じますので,死亡届を提出するに当たりましては,親族等関係者と十分に御相談ください。

 また,市区町村の戸籍窓口に死亡届を提出した場合でも,必ず受理されるとは限らず,死亡の事実を認定できないと判断したときには,不受理(戸籍に記載されない)となる場合もあります。

 死亡届が不受理となった場合など御不明な点があるときは,各市区町村を管轄する法務局の戸籍課へお問い合わせください。
 ※連絡先はこちら→法務局・地方法務局一覧  


6面の記事によると平成23年4月に成立するばかりと思っていた相続税法改正(増税案)は引き続き協議の形で先送りされた。
1.基礎控除の引き下げ
(現行法)「5000万円+1000万円×法定相続人の数」
(改正案)「3000万円+600万円×法定相続人の数」
2.税率構造の見直し  
(現行法)6段階の累進課税で最高50%
(改正案)8段間の累進税率で最高55%
3.生命保険金の非課税金額
(現行法)「500万円×法定相続人の数」
(改正案)数部分に生計一親族など限定

村田裕之著『親が70歳を過ぎたら読む本』を読む2011/06/12

 副題:相続・認知症・老人ホーム・・・・について知っておくこと。
 ダイヤモンド社刊。2011.2.10発刊。
著者の村田氏がこの本を書いたきっかけは今ある高齢者を取り巻く本は専門書が多くて総合的な本は見つかりにくいという問題意識からでした。そこで以下の目次を見ても分かるように包括的に時系列的に起こりうる問題を整理しながら解説されたわけです。
 ちなみに著者は1987年大学を卒業とだけあるので推定46歳前後。40歳代50歳代の視点から書かれている。法律家、学者、評論家などではなくシニアビジネスのパイオニアの立場からの発言である。
目次を見てみる。
プロローグ もし、あなたの親に何かあったら、あなたの生活はどうなるか?
第Ⅰ部 親が70歳を過ぎたら元気なうちにやること
第一章 老人ホームの情報収集を行う
 客観的な情報は中々得にくい。実際に自分の目で確かめることを提言している。自分の足と目でなるだけ多く見て回ることで判断力を養うことになる。
第二章 相続トラブルを予防する
 この章だけで1冊の本になるだけの内容がある。実際多くの本が出版されている。週刊経済誌でも特集で取り上げることが多々ある。本書の出版元のダイヤモンド社から「週刊ダイヤモンド」がでているが時々このテーマに沿った特集が出ている。
 遺言書が必要なことを徹底して勧める姿勢である。
第三章 認知症による生活トラブルを予防する
 成年後見制度の利用を案内している。この分野の本も近年急速に増えてきたが実際の利用者はまだまだ少ないのが現状という。何分制度発足から10年経過したばかりだ。今後急速に利用が進むことは間違いない。 
第四章 身体が不自由になった場合に備える
第五章 終末期のトラブルを予防する
 尊厳死のついての章。
第Ⅱ部 親の体が不自由になってきたらやること
第六章 認知症かどうかチエックする
第七章 要介護認定を受けてもらう
第八章 介護施設を探す
第九章 財産管理契約等委任契約をスタートする
 弁護士以外はこの契約を結ぶことができない。つまり任意後見契約に入る前は法律行為の代理ができない。そこで著者は任意後見契約のようにきちんと法を整備して弁護士以外でも締結できるようにすることを提言している。同感である。
第十章 亡くなったときの連絡先を確認する
第Ⅲ部 親の判断能力が不十分になってきたらやること
 いよいよ任意後見、法定後見の段階に来た。
第十一章 任意後見契約をスタートする
 任意後見のハウツウである。
第十二章 法定後見制度を利用する
 これも制度の案内。
第Ⅳ部 もっと根本的な「トラブル予防策」
第十三章 認知症を予防する
 予防には学習、運動、生活習慣病を避けるのが良いそうだ。
 ここで学習というのは学習療法のこと。しかし何か頭を使うこと、と理解してもいいだろう。
 私の俳句会でもすぐにつぶれるかと思ったが粘り強く会合に出てこられる。皆さんの年齢は70歳前後である。てにおはの指導、季語、言葉の斡旋の提案、諸々の知識と経験の限りを尽くして全力投球で指導に当たっている。そして1年後の今は見違えるように良くなった。俳句は認知症の予防になると思う。
第十四章 筋力の衰えを予防する
 マイカー通勤から地下鉄通勤に切り替えて半年後の今は特に大腿筋の力が戻った気がする。山を歩いていても疲れにくくなった。常時歩くことが基本と思う。足から衰えるのは本当である。
第十五章 家族会議を開く
エピローグ 高齢期の親の問題を考えることは、私たち自身の近未来を考えること

 高齢社会とは大変な社会だった。皆が長寿を祝い、励ましあう社会ではなかった。なるだけ自力で生きてそれでも長生きしてしまってかつ他力が必要になれば様々なサービスを利用することになる。
 本書に欠けているものがあるとするともっと多様な行政のサービス(取り組み)の紹介ではないか。国は急速に進んだ高齢社会に取り組んでおる。
    http://www8.cao.go.jp/kourei/index.html
 高齢者宅を訪問する民生委員の活躍、新聞配達者の気遣い、宅配給食サービス・・・と考えていくと本書の内容はホンの一面だけの把握に過ぎないと分かる。
 高齢社会ではビジネスが前面に出てしまうとトラブルの元である。逆に目的を隠して親切心を出して高齢者の心に食い入る商法もある。倫理が大切であろう。
 地味ながら社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの活躍も紹介するといいだろう。知らされて初めて理解できることが余りにも多い。

会計業務2011/06/13

 13:00~17:00まで顧問先で執務。若干の仕訳けをした後、労災保険の申告書作成の他の付随業務をこなす。決算・税務申告でお世話になる顧問税理士と初対面のご挨拶もやっと適った。

岡本吏郎著『会社にお金が残らない本当の理由』を読む2011/06/14

 新書版。フォレスト出版。2010.1.23発行。著者は1961年生まれで50歳。税理士、経営コンサルタントで活躍する気鋭の会計人。
 本書は2003年に同名で出版されて好評を得た。2004年度のビジネス部門で3位の売れ行きをゲット。
 会計をやる以上は儲かれば「お金が残る」はずなのに現実には残らないのでその解決策を税務専門の会計人の視点から展開された。
 「この本は私の処女作です」とまえがきとあとがきで強調しているからよほど思い入れがあるんでしょう。
 では表紙のキャッチから点検だ。
「94%の社長は知らない!合法的にお金を残す技術。
 この統計の根拠が不明。儲けている会社は6%程度と逆説的に読むのかな。
「93.7%の会社は10年以内に潰れる」
 御意。会社経営は経済の荒波を泳ぎ、乗り越えていく覚悟がいる。業容拡大とばかりに各地に支店、営業所の拠点を広げる。人件費、家賃、通信費などが膨らむ。経済の波が落ちたときにカネが続かなくなると撤退だ。撤退にもお金はかかる。
 代理店を探すとか、出張で間に合わすとか、少ない人間でやりくりする知恵が要る。
「7つのシステム」
 P28以降に解説されている。
1.収入
2.支出
3.借入れ
4.税制
5.決算書
6.価格
7.リスク
の七つ。これは主なもの。 
「4つの数字」
 P154以降に解説がある。
一人当たり付加価値
労働分配率
一人当たり経常利益
ROA(総資本経常利益率)又はCROA(総資本キャッシュフロー率)
「役員報酬はあくまでも合法的裏金」
 こんな客観的な解釈は中々出来がたい。この内の内部留保の積み上げに手をつけるといざというとき柔軟な対応ができない。
 金が残らないのは実力以上の使いすぎと断罪する。会社の金と自分が生活費に使える金を分けて公私混同の基準を考えることが大切という。
 P32には役員報酬はただの仮払い、仮受金とも言います。
 「中小企業は節税のために目一杯役員報酬をとって会社の利益を限りなくゼロにする。中略。会社の利益がゼロならば役員報酬から「内部留保」をしなくてはなりません」。
続けてみよう。
「役員報酬1000万円はサラリーマンの年収500万円程度なのです。ちょっと資金繰りが良くなるとベンツに乗るようでは、やってはいられません」。
商売の種銭(内部留保)に手をつけてはいけないのです。
まだまだ続きますがこれ以上は本書をお買いになって読まれるといいでしょう。
「裏帳簿のススメ」
 今となっては既知のこともあります。
 経営経験から経営哲学が生まれるものですが著者は会計人の立場から経営のあり方を説いています。
 会計学を学ぶとその教科書の最初には企業は永遠なり、と書かれているはず。実際には経営難で倒産する企業の多いこと。それは何故かと著者は考えたはずです。
 多くの企業を見てみて結果として金がない、入金した金はすべて自分の自由に使える金と錯覚する、儲かって預金しておいた金も自分の金と思って身の丈以上の消費に回す。そんな現実に気付かれた。
 確かに過去を振り返ると高利の金を借りているのに、はったりも必要と外車を乗り回し、女性秘書を2人も雇っていた会社があった。
 某経済団体会頭の御曹司、有名私大OBで人脈も華麗な経営者がいた。
 不動産ブームに乗って大儲けした。よせばいいのにビジネス街の中心に自社ビルを建てたが実は資金繰りは火の車であった。資金の固定化をなぜ検討しなかったのか。ライバル会社も松坂屋の隣に自社ビルを建てたがすぐに倒産してしまった。
 自社ビルはカネを生まない典型的な資産なのです。よってたかって課税の対象になるもの。よほどキャッシュフローのいい会社以外は見送りが賢明です。
目次を見て食指が動きますか。
第1章 システムを知らないからお金が残らない。
第2章 システムを知らなくてもどうにかなった理由
第3章 システムの正体を探る
第4章 数字はこうやって考える
第5章 システムの中をどう泳ぐか
終章 クリエイティブ・マイノリティ
 一読しておいて損はないでしょう。