法科大学院制度の崩壊か?2012/07/15

新日本法規出版㈱WEB会員向けのコラムから

▲巻頭コラム『法・社会・人間』▲
法科大学院募集停止

5月28日に明治学院大学法科大学院が募集停止を発表したのを皮切りに7月4日には神戸学院大学法科大学院が募集停止を発表し、7月6日には駿河台大学法科大学院も募集停止を発表した。昨年度から募集停止となっている姫路獨協大学法科大学院と昨年募集停止を発表済みの大宮法科大学院と合わせると募集停止を決めた法科大学院
は執筆時点において全部で5校となった。現時点で入試説明会を延期している法科大学院もあるので、募集停止を発表する法科大学院はまだまだ出ると思われる。今年の法科大学院への入学者数は3150人で、入学者数が一桁の法科大学院は20校もあり制度の崩壊は明らかであるといえよう。

このような状況において法科大学院の中で定評のある法科大学院とそうでない法科大学院を選別し、前者は生き残ると考えている人々もいるようだが、制度自体が崩壊しているので、現状の制度であれば「すべてなくなる」と考えるのが論理的だろう。

ところで、愛知県弁護士会の常議員会で「法科大学院課程の修了を司法試験の受験資格から除外することを提言すべきである」という日弁連に対する意見書が可決されているが、この提言がロースクールを維持しながら法曹界の魅力を回復するために現時点においてとりうる最善の策かもしれない。これによって法科大学院は存在していても司法試験制度との関連においては実質的に存在しないのと同じになるが、
同じ土俵で司法試験予備校と闘い、より高度で効果的な教育をし、予備校に勝利した法科大学院は多くの生徒を集め生き残ることができるからだ。

それにしても、優秀な人々を惹きつける魅力を法曹界は失っており、法科大学院への入学者の質は低下し、また採点実感などで指摘されるように司法試験受験者のレベルも低下している。これを回復するには数十年単位の歳月がかかるだろうが、もしかしたら法曹界の魅力はもはや回復しないかもしれないと危惧してしまう。
(KI) (7月9日)

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 新聞でも報じられているニュースである。この執筆者は法科大学院の制度はすでに崩壊しているので、生き残るはずの大学も含めて、すべて無くなるとまで踏み込んで、危惧を露にして、主張されている。
 確かに、お金がかかりすぎることも懸念する。前にも書いたがアメリカの年次改革要望書にしたがって「改革」されてきたが、失敗したのである。この先にはTPPもあったのだな、と薄々感じた。つまり、アメリカの弁護士の資格で日本でも営業できるようにせよ、と迫ってくるはずだ。これまでに知ったのはアメリカの弁護士は日本の行政書士の仕事もやっているそうである。つまり、日本のように省庁で分離されていないのでどの士業にも危機が訪れる。
 丸の内界隈の弁護士事務所に職員として雇用されている女性の行政書士さんにそれとなく伺うと、仕事はない、そうである。行政書士同士で事務所をシェアしながら営業している人もいる。苦労しているのだ。日本経済の沈滞化と増税によって、益々サービス業たる弁護士なども先細りになると思う。
 この上に企業化したアメリカの法務サービス業界が殴りこんできたらどうなるのか。想像もできない。
 しかし、基本は人間関係を大切にすることである。この人に依頼するという信頼感を築くことが肝要である。