丹羽駐中国大使は9月交代か?2012/07/23

 WEB版産経新聞によると
 「政府は22日、9月の通常国会閉会後に丹羽宇一郎駐中国大使を交代させる方針を固めた。後任の調整を急いでいる。丹羽氏は6月、英紙のインタビューで東京都による尖閣諸島(沖縄県石垣市)購入計画を批判した。野田佳彦首相は尖閣諸島の国有化に意欲を示しているが、都の購入計画を批判した丹羽氏の続投は政府方針に矛盾すると判断した。

 政府高官は産経新聞の取材に対し、「正式決定は通常国会の会期(9月8日)終了後になる」と述べた。外務省幹部は、「日中国交正常化40周年がいい区切りだ」と述べ、実際の交代は40年前に日中共同声明が署名された9月29日以後になるとの見通しを示した。」
 
 同日付の「正論」では
「防衛大学校教授・村井友秀 尖閣で中国は法的に勝ち目なし」と題した論考を併載しておこう。

 前略


「≪共産党体制の正統性かかる≫

 それでは、なぜ、中国は尖閣諸島が中国領だと主張するのか。

 一般的に中国外交は国内問題の反映であるといわれる。21年に共産主義政党として生まれた中国共産党は、30年代には、反共の国民党の攻撃によりほぼ壊滅状態に陥った。だが、日中戦争の拡大で覚醒した中国人の民族主義が、共産主義というよりもむしろ民族主義(抗日民族統一戦線)政党に変身し、当時の中国の政治勢力の中で最も反日的であった共産党を、政権の座に押し上げたのである。中国共産党政権の正統性の基礎は反日民族主義である。したがって、中国共産党にとって、対日関係を緊張させて、日本軍による侵略の記憶を再生産することは、政権の正統性強化に繋がるのである。
中国共産党政権は独裁政権でもある。独裁政権は国民の支持ではなく国民を威嚇することで政権を維持している。したがって、独裁政権は、権力基盤を強化するためには、国民を威嚇する軍隊や警察を強化しなければならない。しかし、軍隊や警察を強化すれば国民の支持は低下する。ただし、「外敵」が存在すれば、外敵から国民を守るという口実によって、軍隊を強化することに国民の支持を得ることができる。独裁政権は「外敵」の存在によって、政権を安定させることができるのである。」

 このような体質の政権と永続的な「日中友好」は不可能に近い。関係者の努力によって築かれてきたというが、最初から、土台なき建築では崩壊するのも近いだろう。

 続けて
「≪領土守る覚悟が問われる≫

 一方、中国のインターネットでは、南シナ海問題は軍事力を使って解決すべきだと主張する意見が大部分を占めている。ネット世論にみられるように、中国世論は好戦的であり、中国政府にとって、「日本帝国主義に奪われた固有の領土を奪回」する行動は、国民の人気を取りやすい政策である。

 中国政府の尖閣諸島に対する積極政策は、中国共産党政権の正統性に由来するのであり、日中関係を緊張させることを目的にしたものである。日本の行動に対する反応ではない。今後も国内の緊張が高まれば、中国は必ず領土問題を再燃させてくるであろう。

 中国に積極政策を再考させるには、それによって中国が得る利益よりも、被る不利益が大きくなるようにしなければならない。かつて中国は台湾の総統選挙に圧力をかけようとして台湾近海にミサイルを発射した結果、米軍の積極的な介入を招き、大きな不利益を被った。その後、中国が台湾の選挙に軍事的圧力をかけることはなくなった。状況の不安定化を防ぎ現状を維持するために、日本として軍拡が必要になる場合もある。

 日本政府は覚悟を決め、尖閣諸島が“日本の核心的利益”であり日中関係の大局に重大な影響を及ぼすと主張すべきである。ただし、日本国民に、領土を守るために大きな犠牲を甘受する覚悟がなければ、日本政府は動けない。(むらい ともひで)」

 われわれ日本人には日本を守ろうとする遺伝子が組み込まれている。今までの刺激によって、ネット上では、すでに遺伝子にスイッチオンしている。マスコミは冷静にという論調になっているが、容認したら本当に(丹羽氏の日本の将来は)属国になってしまう。
 かつて日本が清国に勝利して、中国人の遺伝子を刺激した。上記の村井氏の論考を読むと中国共産党はこの点をとても意識していることが分かる。宮脇淳子『真実の中国史』でも中国人の中国史はアヘン戦争から始めているが、本来は日清戦争、と指摘している。

 日本国憲法の特に9条の廃棄と再軍備を視野に入れる時代に入ったと思う。憲法とは世界情勢の変化によって、動態的に改正してゆくものである。100年以上も前に来日して、日本の山岳を跋渉した英国人宣教師・W・ウェストンが言ったように日本人はどんな犠牲をも払う国民性がある。