三橋貴明『グローバル経済に殺される韓国 打ち勝つ日本』を読む2012/07/03

 徳間書店。2012.6.30刊。著者は1969年生まれ、経歴は会社員出身というよりは中小企業診断士の経歴がユニーク。韓国経済に対する詳細な分析に定評があるという。表記のように本書でも韓国経済のやむをえないグローバル化によって現在、未来でどうなっていくかを論じた。しかし、韓国だけというよりは、対比的に日本経済の優位性も論じてある。このために長い表題になった。ブログランキングで常にトップという人気がある。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
 論旨は明快で目から鱗が落ちる。デフレ政策が諸悪の根源と、日本経済への処方箋も示す。一々、数字を丁寧に示して説明するから説得力がある。
 ちなみに具体的に挙げると
・日本銀行の通貨発行
・政府の国債発行
・政府の財政出動
である。多くの識者が指摘することと変わらない。今の日銀はインフレが怖くて理論では分かっていてもやらないことばかりだ。失敗した責任は自分に来るからだ。
 TPP参加への警告を韓国経済の実態を踏まえて、こんなに怖いことだと論破している。早い話、サムスン電子が成長して、反対に日本の電子機器メーカーが衰退した原因も分かる。但し、サムスン電子の株主の半分は外国人なので配当の形で半分は外国へ流出してしまう。輸出企業を勝たせるための極端なウォン安政策のため輸入は高コストになる。生活費が高いから日本に勝っても貧乏なままなのである。
 「ガラパゴス化こそ強さの源泉」
ガラパゴス化は日本企業への批判の意味で語られることが多い。前に紹介した中村保氏もグローバル派の方であるが、欧州の小国出身の企業は普遍性の高い機能を重視せざるを得ない。日本がガラパゴス化するのは国内で充分まかなえるからである。著者は日本の強みと言っている。
 私見であるがトヨタのハイブリッド車はまさに日本で生まれて育ったガラパゴス化商品の典型である。欧州の小国では理論はあっても実現は難しかったと思う。日本のユーザーは高価格をよく我慢し、行政も減税で需要を喚起し、ガソリン高騰もあって、支持していったからこそだ。個人的にはディーゼル車が欲しい。クリーンディーゼルエンジンの技術を持つデンソーはその技術を世界に先駆けて開発しているにもかかわらず、(親会社のトヨタが抑えている?)一定以上の排気量の車にしか利用させていない。
 「韓流ブームの悲しき現実」
 という項目も初めて知ることが多い。レンタル店へ行くと韓流ブームを実感するが、好きだという人は実際には11%くらいという。好きと思わない人が71.9%であるという。これは大垣市にある大垣共立銀行本店を訪れてのアンケートの結果だ。岐阜県という地域性があるが。
 韓流ドラマは今や「御園座」にまで食い込んでいるが大丈夫かな。HPをみると1日だけだが公演をやることになっている。債務超過をきっかけに株価の下落が止まらない。上場来安値だ。こんな安値で買占められて韓国の資本に大株主になられたら困ったことになる。歌舞伎は韓国が発祥などと言われかねない。
 しかし、今日の
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/
をチエックするとどうやら韓流ブームは終わりつつあるようだ。自滅ということだ。これらのTV局にも20%を上限に外国人の株主の制限一杯に韓国資本が株主になっているという。マスコミによって作られたブームということが理解できる。
 元に戻って。韓国はアメリカというよりは、強欲なグローバル資本家の餌食にされつつあるということだ。日本がそうなっても良いのですか、と警告されている。
 はじめにの最初のことばを転載しておく。
 「韓国が「隣国」であることについて、これほどまでに感謝したくなる日が来るとは、以前は想像もしていなかった。」と日本が進むべきでない道を韓国が示唆してくれているというのである。日韓の国交断絶の動き(嫌韓意識)も承知の上で、若干の皮肉も交えて、ズバリ核心を突いている。

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