家族でも刑事責任が問われる陥穽に注意!2012/10/11

追跡・発掘:成年後見人制度 発覚遅れ、流用被害高額化 「財産報告は2、3年に1度」 /山梨
毎日新聞 10月10日(水)13時5分配信

 父親(85)の成年後見人をしていた娘(53)とその夫(56)が先月26日、預金9000万円を横領したとして、鰍沢署に業務上横領容疑で逮捕された。判断能力が不十分な高齢者や障害者らを守るための成年後見制度。なぜ被害が発生したのか。高齢者らの資産を守るにはどうすれば良いのか。制度の現状を取材した。【片平知宏】
 ◇会社資金に流用
 県警などによると、被害に遭った男性は現在病気で甲府市の施設に入所中。娘が08年7月に甲府家裁から後見人に選任された。昨年12月に家裁は後見人を解任し、今年2月に2人を県警に刑事告発した。逮捕後、娘と夫は「(夫が社長を務める)会社の運営資金に使った」と供述しているという。
 成年後見人には一緒にいる時間が長く、意思疎通をしやすい親族が選ばれることが多い。裁判所によると、県内で05~11年に選ばれた後見人1275人のうち932人と7割以上が親族だ。
 一方、後見人による流用被害は県内で10年6月~11年9月にも2件4920万円。全国の状況(10年6月~12年3月)をみると、親族らによる流用が538件計52億6000万円、弁護士ら専門職による流用が12件2億円だった。
 ◇「いずれ相続」
 親族による流用が起きやすい理由について、司法書士でつくる「成年後見センター・リーガルサポート山梨」の小林恵支部長は「財産は家族のもので『どうせ相続するから』という意識の人が多い」と指摘する。しかし、後見制度はあくまで個人の財産を守る制度。家族でも「使い込み」は今回のように刑事責任も問われる。小林支部長は「裁判所から選ばれた『公的な立場』と意識すべきだ」と話す。
 一方、小林支部長は裁判所の人手不足も指摘する。「制度が始まって12年。被後見人は増えたが、職員が追いつかない。財産の報告は2、3年に1度で、発覚が遅れ、流用被害が高額化しているのでは」とみる。
 ◇「支援信託」始まる
 不正防止策として全国の家裁は今年2月から、信託銀行が財産を管理する「後見制度支援信託」の取り扱いを始めた。信託銀に預けた財産は家裁の指示なく払い戻しはできないようにし、後見人の資産管理額を減らす。生活費用などは必要に応じて信託銀行から一定額を定期的に受け取る。
 小林支部長は「成年後見制度は、手続きが煩雑など使いにくい面もあるが、悪質な契約などを防げる。後見人としての財産管理の仕方など、弁護士や司法書士などに相談してほしい」と話している。相談は成年後見センター・リーガルサポート(055・254・8030)。
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 ◇成年後見制度
 認知症や知的障害、精神障害などで判断力が不十分な人を法的に守り、支えるため、00年に介護保険制度と共に始まった制度。不利益な契約を結び、悪徳商法の被害に遭ったりしないように、財産管理や契約などを後見人に選ばれた親族や弁護士などが本人に代わって行う。本人が将来に備えて選ぶ「任意後見」と、家族らの申し立てで家裁が選ぶ「法定後見」がある。
10月10日朝刊

引用は以上で終わる。子による親の財産侵奪の事例である。
・親の財産は親が死亡して初めて相続できる。
・親の財産を子が使い込めば、遺産相続でもめる元になる。
・成年後見人は親(被後見人)の財産を堂々と流用するための制度ではない。
・問題は親の財産を使い込めば刑事責任を問われることだ。おカネを返せば済むことではないので慎重な対応が必要である。

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