憲法9条について2013/05/04

 改憲の動きが大きなうねりとなってきました。

 平和憲法、占領憲法、護憲、改憲、改憲ではなく廃棄せよ、という廃憲論、明治憲法との連続性がないという指摘も、そこで出てきたのが宮沢俊義の八月革命説、押し付け憲法論など様々な学説意見主張を見ます。

 憲法9条についても違憲合法論が台頭しました。社会党の石橋委員長が声高に主張されていた。当時はおかしなことをいうな、と思っていた。東大法学部教授だった小林直樹教授の理論だった。

 非武装・防衛は理想主義であって現実的ではない。こちらが丸腰だから相手が襲って来ない保障はない。

 時代が変われば憲法も変わらねばなるまい。

 現実は中国共産党の脅威が増している。尖閣諸島を本気で取りに来ている。韓国には竹島を実効支配された。旧ソ連には北方領土を取られ、実効支配が進んでいる。政治力の背景には戦力がなければなるまい。

 これまで戦争を免れてきたのは第一に日米安保条約のお陰であった。9条を補完する広義の日本国憲法といえる。日本をアメリカの属国という人もいるが、アメリカにとって重要なパートナーであることに違いはない。ただただ、コバンザメみたいにくっついているわけではない。

 歴史的には、共産主義の国が起した朝鮮戦争によって、アメリカは日本を丸腰にしたことを後悔した。防共のためには日本再軍備を吉田茂に言いつけた。吉田茂は日本国憲法9条を以って、社会党に反対させ、日本再軍備に抵抗した。そして自衛隊が生まれた。が、海外派兵はできない。

 朝鮮戦争ではアメリカ軍が先頭にたって闘わざるを得なかった。アメリカの政策ミスは日本と戦争したこと、憲法を押し付けたことであった。日本に勝利していいことはなかったのではないか。アジアのことは日本に主導権を握らせておけば良かったのである。

 特に満州国をソ連に取られ、中国共産党に譲渡されたことは大きな損失だった。アメリカが日本を叩いたために起きたことである。日本を叩いてアメリカに利益があっただろうか。アジアの共産化を招き、いいことは一つもなかったと思う。

 日本は9条によって、米ソ冷戦の中で、漁夫の利を得てきた。戦争しなくても良いので軍備は要らないし、アメリカは多くの日本製品を購入してくれた。瀕死状態だったトヨタは朝鮮戦争でトラックが売れて大いに儲けた。その儲けで借金を返済し、日本初の乗用車専用工場の元町工場を作ることができた。その後の発展は書くまでもない。

 世界が日本の9条に学んで軍備を最小限に縮めるならこんな良いことはない。尖閣から沖縄へと中国の日本侵略構想がはっきりしてきた今、再軍備やむなし、と思うのはわたしだけではあるまい。