中国 反日デモの真実2012/11/02

宮崎正弘氏のメルマガから。
「番外編
ラジオの記録
下記は10月19日に放送されたラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に生出演した宮崎の発言を再生したものです。
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「米に並ぶ覇者たらん」尖閣奪取は人民解放軍主導  バブル崩壊始まった中国経済、体制が変わらない限り悪化の一途~宮崎正弘氏  ずばり勝負  @JBpress
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マット安川 今回ゲストに宮崎正弘さんを迎え、中国は領土問題から経済、現状など、現地取材したから分かるさまざまをお聞きしました。28年前から今の中国の軍事力拡張を予見していた宮崎さんの分析は見逃せません。

 宮崎正弘 日本は9月11日、尖閣諸島を国有化すると宣言しました。私はたまたまその日に遼寧省の瀋陽にいて、新聞が反日一色になっているのに気づき、アレっと思いました。
  瀋陽には柳条湖事件の記念館(九・一八歴史博物館)があり、パトカーが警戒していました。日本領事館も道路を封鎖して厳しい警備を行っていた。それで、これはやるなと思ったんです。9月18日に向けてやるなと。

 9月18日というのは柳条湖事件の日で、中国人にとっては屈辱の日です。実際に反日デモが本格化したのは14日頃からで、18日にピタッと止まりました。
 一方、9月1日から2週間ほど公の場から姿を消していた習近平(中国国家副主席)さんが15日に突然、北京の中国農業大学に視察で現れた。
 これは自分は農民の味方である、という宣伝のためですが、実は習近平は姿を消している間、反日デモの準備をしていたんです。どこで何をやるかという命令をしていた。

 その命令が下部組織に伝わると、お前の所からは10人出せ、20人出せということになる。そして、バスは何時何分にどこに来るから乗れと。バスを降りるとTシャツやペットボトルの水が配られ、弁当も用意されている。

 日本領事館の前まで行くと生卵が準備されていて、「1人2個まで」と書いてある。デモを終えて帰ってくると解散場所で日当が配られる。農民はだいたい50元もらったらしいです。日本円で約700円ですが、中国では7000円くらいの価値がある。
 そのデモを見物に来ていた連中が、面白そうだと参加してデモが膨らんだ。それが実態です。日本のメディアは、中国人は根っからの反日みたいに報道していますが、そんなことはまったくありません。

▼中国は100年かけても尖閣諸島を奪いにくる

 尖閣諸島について、中国軍は50年かかろうが100年かかろうが必ず奪いにきます。それは彼らの望みだからです。
 理由は2つあります。1つは資源の確保。2つ目は軍事戦略上のものです。東シナ海から南シナ海にかけて、大陸間弾道弾(ICBM)を装備した潜水艦を潜らせたいんです。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と言いますが、中国はこれが決定的に遅れているんです。アメリカとはまったく比べものにならない。
 中国にとっては、東シナ海から南シナ海までの広い海を聖域、サンクチュアリにすると、アメリカと覇を競えるほどの軍事大国になれます。

 中国人民はそんなことを望んでいないし、中国政府も望んでいるかどうか疑わしいけれども、人民解放軍のプロパーの目標ではそういうことでしょうね。30年かけてここまでの軍事大国にのし上がってきたんだから、あと30年かければできないことはないと。
 彼らにすれば尖閣は別に焦る必要はない。これからも執拗にしつこくネチネチときますよ。
正義とか不正義というのは彼らには関係のないことです。

▼中国共産党の権力闘争は単なる利権の奪い合い
 
現在、中国共産党内で激しい権力闘争が行われています。それをイデオロギー対立だとか、党の路線の解釈の違いだとか難しいことを言う人が多いんですが、簡単に言うと利権の奪い合いです。すごい利権ですからね。
 例えば、数億人が利用する携帯電話やインターネットの通信費は、チャイナモバイルなど2~3社に入る。これらの会社の利権を持っているのはすべて上海派です。証券会社の為替取引や国際金融などの利権も上海派に行き着く。

 一方、胡錦濤(中国国家主席)さんは共産主義青年団出身、いわゆる団派です。この人は共産主義イデオロギーの中で教育されて、人類平等という理想を抱いている。
 だから利権ばかり狙って、平等どころか貧乏人は飢えて死ねというような態度の人たち、つまり上海派とは合わないんです。水と油です。
 ただそうはいっても、団派もカネが要りますからね。それでほかの利権を狙うことになる。1つはレアアース。これは内蒙古自治区にしかないので、ここを押さえました。

 次に繁栄している地域を押さえていく。上海、広東、福建、遼寧、山東などのボスをどんどん押さえていく。広東省には胡錦濤の右腕のような人が派遣されている。また、北京の書記はこれまで団派が取ったことがないんですが、とうとう押さえた。

 実際にどうやってポストを押さえるかというと、簡単に言えばカネです。あるポストを取りたいと思えば、その人におカネを持っていく。

 例えば、全人代(全国人民代表大会)の委員のポストの相場は日本円で1000万円くらいです。しかし、1000万円以上の価値がある。何せハンコをもらうためにみんな賄賂を持ってくるわけですから。つまり非常に簡単な仕組みなんです。

 中国はピラミッド構造です。トップは共産党の書記。次に政治局常務委員が9人、今度7人に減りますが。その下に政治局が25人。その下の中央委員が約200人。さらに中央委員候補というのがいる。
 この中央委員のうち実に約92%の家族や遠戚が海外で暮らしていて、海外のパスポートを取っていることが分かっています。これだけ見てもメチャクチャです。

▼中国のバブル崩壊はすでに始まっている

 中国のバブル崩壊は近いのではなく、すでに始まっています。今はそれをゴマかしているだけです。
 売れ残りマンションが約8000万戸あると推定されており、金額にして約5兆元、日本円で約64兆円。銀行の不良債権は少なく見積もって150兆円くらいある。要するに200兆円規模でバブルが間もなく弾けるわけです。

 中国のGDP(国内総生産)が約550兆円だから、どれだけの爆発力を持っているか。共産党の幹部はみんな知っているから真っ青になっている。そうした中で、人民は貧困にあえいでいて不満を持っている。そのガス抜きは今までは反日でしたが、効き目がなくなってきた。それで反政府暴動を起こしそうな人間をどんどん捕まえています。

 中国には国家安全部というのがあり、公安や警察と合わせた予算が、実は国防費よりも多いんです。誰も指摘しないんですが、これは大事な点です。中国の軍事力が脅威だと言うけれども、それを上回る予算を警察が使っている。

 それは外に対してではなく内側、国民の弾圧のために使っているわけです。インターネットの監視などを徹底してやっていて、権力側は自信を持っている。この壁を突き破って反政府運動に至るかどうかは大いに疑問です。そこまでの力はまだ民衆にはない。

 だから中国の体制はまだまだ崩れないでしょうし、よって経済は悪くなるいっぽうだと思います。
   (「マット安川のずばり勝負」10月19日放送より)」

 一方でWEB産経新聞では中国の要人がアメリカに蓄財している米紙の報道を掲載した。当然ながら当人は弁護士を通じて否定に躍起となっている。下層人民の反乱が怖くて仕方ないのだろう。