トヨタの大量リコール2012/11/16

 新聞各紙がトヨタの大量リコールを報じた。余り驚きもないのは、またかという気と事故が起きていないからでもある。しかし、今回の記事を読んで、ステアリング系統に原因があることが分かった。これは見過ごせない。
以下はロイターの記事の前半部
「[東京 14日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は14日、世界で「プリウス」など277万台をリコール(回収・無償修理)することを明らかにした。ハンドル操作ができなくなったり、ハイブリッドシステムの電源が落ちて走行不能になる恐れがある。このうち国内は対象台数が約151万台で、一度のリコールとしては最多となる。

不具合があるのは、ステアリング装置とハイブリッドシステムの電動ウォーターポンプ。ステアリング装置は、ハンドルとギアボックスを連結する部品に強度が不足しているものがあり、低速時にハンドルを強く一杯に切る操作を繰り返すと連結部が摩耗し、ハンドル操作ができなくなる可能性がある。」
 ステアリング部品の強度不足のようである。これは記憶では2度目である。以下はヤフー知恵袋から
「先日新聞にハイラックスサーフでリコールするべきものをしなかった為、部品が折れ...

ahiruchan927さん

先日新聞にハイラックスサーフでリコールするべきものをしなかった為、部品が折れてハンドル操作が出来なくなり事故にあった為、裁判になったという記事をみました。今、初年度登録H18年1月のサーフに乗ってます

次もサーフに乗りたいと思ってましたが、危ないでしょうか??

質問日時:2007/8/12 21:07:25.
解決日時:2007/8/27 03:15:18.
回答は
「ずいぶん昔(20年以上昔)に両親が乗っていたタウンエースというトヨタ車も「部品が折れてハンドル操作ができなくなる」リコールをだしていました。
いくら修理したとは言え気持ち悪かったので、早々に乗りかえてましたね。
それ以来、うちで車を買うときは「トヨタ」以外が鉄則になっています。

今度は公表せずリコール隠しですか。

なんかトヨタの車はハンドル部分を軽視しているみたいで怖いですね。」

「トヨタ自動車は、『ハイラックスサーフ4WD』、『ハイラックスサーフワゴン』、『ハイラックスサーフ』のかじ取り装置に不具合があったとしてリコール(回収・無償修理)を届け出た。対象は1988年12月から1996年5月までに生産した33万496台。

これらのクルマでは、かじ取り装置のリレーロッドの強度が不足しているため、ハンドルの据え切り操作等の操舵力が高くなる使用を頻繁に長期間続けると亀裂が生じるものがある。

そのため、そのまま使用を続けると亀裂が進行し、最悪の場合、リレーロッドが折損し操舵ができなくなるおそれがある。

発見は市場からの調査による。クレーム件数は国内が11件、事故は人身が1件発生している。」

「トヨタ自動車の信頼が揺らいでいる。国土交通省は21日、リコール(回収・無償修理)を巡る社内体制の不備を指摘し、業務改善策の報告を同社に求めた。それに先だって、熊本県警は、欠陥の放置で事故が起きたとして、同社部長らを業務上過失傷害容疑で書類送検した。

 品質はトヨタ車の最大の武器だった筈だが、そこに不安が兆した。トヨタは成功におごる事なく、もう一度モノ作りの体制を総点検すべきだ。 

 問題となったのは、1988年発売のスポーツ多目的車「ハイラックスサーフ」。ハンドルの動きを前輪に伝える部品(リレーロッド)が強度不足で、止まったまま大きくハンドルを切る操作を繰り返すと破損し、ハンドルがきかなくなるという。

 2004年8月には、熊本県で5人が負傷する事故が発生。トヨタは同年10月にリコールに踏み切ったが、熊本県警は、「もっと早くリコールしていれば、事故も起こらなかった」という見解だ。

 これに対し、トヨタは、「リコールの判断について落ち度はなかった」と刑事責任は否定しつつも、結果としてクルマに欠陥があった事は認めている。さらに、国交省の指摘を受けて、ユーザーからの不具合情報を社内各部署に迅速に伝える仕組みなどを整備する。 7/22

 真っ先に頭の中に浮かんだのは、三菱自動車のリコール隠しの一件。問題になってくるのは、当時、リレーロッドの強度不足により、事故に繋がる危険性があるかないかを認識していたのかどうか。又、強度不足よる危険性を認識していたとしたら、リコールを国交省に届けるまでのタイムラグ(8年間放置?)がある事から、闇改修が行われていなかったかどうか。

 引っかかるのは、事故を起こした車が、中古で購入されていた事。

 闇改修が行われていた?と仮定すると、正規ディラーから購入していなかった場合、ディラーで修理するとは限らないので、闇改修からもれた可能性もある。

 熊本県警の見解と同じく、「もっと早くリコールしていれば、事故は防げた可能性がある」と、個人的には思える。
 
 【補足】 ポイントになるのは、トヨタの品質担当の歴代部長3人が、リレーロッドの強度不足よる破断で、ハンドル操作が不能になる事態を予見できたかどうか。

 中古で購入した事から、前オーナーがどの様な乗り方をしていたのか不明。もし、悪路走行が多かった場合、一般道を走行している場合と比べれば、格段にリレーロッドへの負担は増す。

 普通は、そこまでメーカーは計算に入れていない! ただ、モデルチェンジで、前軸重(前輪に掛かる重さ)が95Kg増えているのに、リレーロッドがそのままだったのが気になる。」
以上

 当時、豊田章男氏は専務だったと記憶している。ステアリング部品の強度不足について「自動車会社として恥ずかしい」と発言されたことも記憶している。あれから少しも「カイゼン」されていなかったわけだ。その後、品質管理担当の副社長に昇格した。社長になってからも品質問題で苦労続きである。
 引用記事の書き込みにもあったように、トヨタはステアリング関連の技術に弱点があるようだ。
 歴史的には
 終戦直後の昭和22年から23年のトヨタの経営危機で、日本銀行名古屋支店の音頭で協調融資団を結成し、窮地を脱した。その際に、住友銀行、川崎製鉄など主力メーカーが離反していった。中でも東洋ベアリング(現NTN)の離反が、今に尾を引いているのではないか。光洋精工が精密部品を担ってきたが、今は豊田工機と合併して、ジェイテクトになった。主力製品はステアリングという。
 FF車の開発でスバル、日産が先行し、トヨタは遅れた。「FF車の開発は等速ジョイントから始まる」と日産の販売員が教えてくれた。FFに必要な等速ジョイントは東ベアが製造していた。トヨタの後れは技術力がなかったわけだ。技術力の劣勢がその時代からあり、技術の日産、販売のトヨタといわれたものだ。
 企業規模は日産の2倍以上に拡大したが、基礎的な技術力はいまだに劣勢のままのようだ。マネージメントは優れているが、倒産したGMの轍を踏むようなことにならないように、コストダウンだけに注力しないことだろう。
 自動車は市場に出されて、様々なユーザーに思わぬ使われ方をすることで、初めて欠陥も分かってくる。しかし、ステアリング部品は重要保安部品であり、廃車されるまで欠点があってはならないものだ。
 品質管理の基準になるデミング賞受賞も日産の方が早い。トヨタの品質管理の狙いはコストダウンにある。不良品が減れば、コストも下がる、というわけだ。不具合があれば「カイゼン」することよりも、最初から、思想的にしっかりした開発思想を打ち出すことが、設計担当者を励ますことになる。最初にコストダウンありきでは、良い技術者を獲得できないだろう。
 社長が枕を高くして寝るためにも良い技術者を育てること。他社にはないステアリング部品の不具合で二度とリコールしない決意が求められる。