成年後見人の交代事例2012/11/24

 Gアラートにヒットした。「行政書士COM」の相談にアクセスが多かったものと思われる。
http://gyousei-navi.com/
「質問 成年後見人交代の件です。
困り度: ★★★★★
はじめまして。
成年後見人をしていましたが、今回、報告等遅れ、領収書がないものや、いろいろあり、担当書記官より暴言、侮辱、罵倒され、その者の権限とか(本人が豪語していました)で、今回その者が選出した弁護士に、一切を 来週月曜日19日に引き渡すことになり、預かり証のようなものを出していただけないかと聞いたところ、はぐらかされまして、家族を同行することもきっぱり断られまして、ますます不安になりましたが、その件で困っているのですが。
一度 全てを引き渡したら、詳細なども知る権利がなくなるとも家裁からも、その弁護士からも聞きました。被後見人はわたしの実の母親で、その母の、わたしの祖母の家の権利書、鍵の全て、墓地の証書、保険証、通帳、大切な物を引き渡して、こちらとしては、何の預かり証もなく、権利はないというのは、仕方のないことなのでしょうか、19日月曜日午前10時半厳守といわれていますが、引き渡して帰るということで、不安です。
どうしたら、よろしいのでしょうか。
教えてNo.556

質問者:エー 都道府県名:東京都 40代後半 ・女性 」

投稿日時:2012-11-16 20:02:
回答1
「1 成年後見人の職務を遂行していないとみなされ、解任事由に該当したため、交代となったケースです。
2 成年被後見人の財産目録の作成が成年後見人には義務付けられています。裁判所の審判による交代であれば、一般的には、預り証ではなく引継書となりますが、前任者であるあなたが作成することになります。その作成ができないために、預り証が出せる状態ではないのではないでしょうか。
3 成年後見制度の趣旨からいえば、あなたのお母さんのための後見制度ですから、あなたに知らせる義務はないといえます。あなたは後見業務を適法に行っていなかったのですし、横領行為等犯罪に等しい行為を行っていたとみなされていますので、仕方のないことです。 
4 弁護士が後見人としてあなたのお母さんの後見を行うということです。その弁護士の監督は裁判所が行いますので、不正等は一切行われないということが、後見制度です。財産目録についての詳細は、弁護士が裁判所に報告をしますので、あなたには詳細を知らせる義務も発生しません。」参考になった:0件
質問者のコメント
「早くのご回答に感謝します。 引継書時にいう書類作成を 行えばよろしいということでしょうか。 母親の借金問題 で、大変な思いをしていた為、財産管理が引継ぎになりました。かえって、肩の荷がおりました。当方は、 被後見人の身の上のことのみになりました。
その場合、病院にかかる費用や施設の日用品費用は、 引継ぐ弁護士によると家裁を通じて、のようでした。 そうなると、費用のかかるところへは行けなく なってしまいます。親子なんだから…とも話して ましたが。 母親から虐待を受けていたわたしにとって 祖母から頼まれたので、引き受けたのがきっかけ でした。」
回答2
「■権力に反発してみるのも一興である。
■あなたは登記された最大権限のある代理人である。
■あなたは法律を執行する立場にある。
■裁判所でも、あなたの代理権は奪えない。
■書記官が罵倒するなど許されないことだ。
■あなたは反骨精神をもつことだ。
■なぜなら、あなたは代理人として登記されているからだ。
■あなたに重大な非行がなければ、裁判官でも罷免はできない。
■あなたには弁明の場があたえられる。
■裁判官がなにを根拠に非行としているか、追及可能である。
■泣き寝入りしないことだ。
■任意に権利の品物を提出しないことだ。
■なぜなら、あなたは代理という職務執行者なのである。
■図書館で本を借りてきて、罷免される場合を研究することだ。
■裁判所は、あなたの権限を簡単には奪えない。
■なにしろ、あなたは法務局に登記されている権利者なのだ。
■気を強くもって、権力と戦ってほしい。
参考になった:3件」
以上
 質問者の文中「担当書記官より暴言、侮辱、罵倒され、その者の権限とか(本人が豪語していました)で、」は気になるところですねえ。担当官の人間性に問題があるように思います。
 回答者1は家裁の立場で、正論です。なぜ、罵倒までされたか。それが収まらないから、ここに質問された。コメントでは納得されたようです。回答者2は質問者の立場で、罵倒された被害者の身になって、権利擁護してくれています。重大な非行とは、母の財産の横領だろうと思います。それはなく、事務的な不履行であれば、罵倒まですることはない。家裁という余り馴染みのない役所に慣れない親族による後見の難しさを感じた。

老人ホームで認知症の母が間違った薬を服用された事例を考える2012/11/24

 中日新聞朝刊の法律相談に掲載された事例で、テーマは損害賠償の相談ではある。母親が認知症で、ショートステイを利用した老人ホームで、他人の薬を謝って服用されていたことが分かったというもの。これで母親は体調を壊し、人格的な障害まで出ているそうだ。施設の事故報告もはっきりせず、誠意が感じられないから損害賠償へと、感情的になり、相談に及んだ。
 WIKIによれば、「ショートステイとは、児童や障害児・者、高齢者の心身の状況や病状、その家族の病気、冠婚葬祭、出張等のため一時的に養育・介護をすることができない、または家族の精神的・身体的な負担の軽減等を図るために、短期間入所して日常生活全般の養育・介護を受けることができるサービスのことである。」
 この際に、相談者は、施設を見学し、母の日常生活についてのメモも渡した。
 弁護士の回答は、
・事業所に原因を明確化させる。
・事業所には利用者の安全配慮義務がある。→安全配慮義務の不履行、または過失による義務違反の不法行為として損害賠償は可能。
・再発防止のためには、個人の責任だけでなく、事業所に事故の発生状況、原因を明らかにさせることを優先する。
・介護保険法に基づき、事業所は市区町村等に事故報告をする義務がある。薬の誤投与も対象。行政は事故報告を受けて、事業所に助言を行う。
・相談者(当事者)も市区町村の対象部署に詳しく、書面で通報した方がよい。(筆者注・役所は人事異動で部署が代わる。書面ならば交代された人がいつでも読める。手元にコピーを残すといい。通報した年月日、担当者もメモしておく)
 以上
 認知症の患者が300万人を超える時代になって、老人の介護施設も増加中である。先だっても開発許可の研修では都市計画法の平成18年の改正にともない、「従来より開発許可の適用対象外とされていた病院、社会福祉施設、学校等の公共公益施設を許可対象とする」(WIKI)のは無秩序な開発を制限しなければいけない状況が背景にあろうか。要するに施設はどんどん増加中だが医療事故は増えてもらっては困る。
 箱物は簡単に出来るが、人材は簡単には養成できない。この事例でも分かるように、うっかりミスが許されない仕事である。後で訂正する、お詫びすればいいということではない。また因果関係の立証も難しい。
 認知症の身内を抱えた家族、関係者は利用するに当たって、施設を慎重に選ぶことが必要である。