日銀による建設国債の引き受け論議2012/11/22

 新聞各紙は日銀の建設国債直接引き受けの是非を巡る論議が盛んである。安倍総裁は市場から引き受けてもらうとトーンダウンしたとも報じられる。
 デフレからの脱却に官僚、政治家、金融関係らが知恵を絞っているが、中々、名案というか、決め手がない。それでだらだらとデフレが続いている。外野席からは日銀の建設国債引き受け案が主張されている。これは劇薬だ、禁じ手だ、歯止めがない、ハイパーインフレを招くとかいろいろ言い分があって、日銀は反対している。
 確かに麻薬のようなものだろう。利権者には打ち出の小槌に思うだろう。民間でいうところの機関銀行化(国債引き受け機関)したら誰が責任をとるのか。
 インフレは供給不足から起きる。増産しても旺盛な需要をまかないきれず、価格が騰がる。金融の最前線はこれを恐れる。
 デフレは需要不足から起きる。作ったものが売れないのである。そこで価格が下がる。下がっても売れないからリストラで切り抜けようとする。経営者の立場である。
 国民の立場では、現金、資産を保有する層はデフレがありがたい。金利がつかなくても物価が下がれば、おカネの価値が上がる。
 ところが、消費増税が決まった。年金の税金補填の部分のカットも決まった。いずれも来年以降、じわじわと効いてくる。これは需要不足を招き、デフレを促進する。収入が固定されている層には痛税感が増す。元々年金の補填もインフレの目減りの補充であり、政治家にとっては、受給者が嫌がる政策を避けてきた経緯がある。
 戦前には高橋是清が日銀の国債引き受けで、恐慌からきたデフレを克服したことがある。ところがインフレの芽がでてきたために軍事予算をカットして軍人に殺された。正に劇薬である。
 日銀による建設国債の引き受けはやるべきだろう。現在の日本の工業力からすれば、供給不足の恐れはない、と見る。人口は減少傾向、生産年齢も上がり、急速な需要には難しい。しかし、心配するほどの需要があるのか。デフレなのでもっと下がってから買おうと、我慢している人が大勢いるのかどうか。
 賢い人々は価値のあるものには高くても消費を惜しまない。今が一番健全とも言える。
 但し、ミクロの分野ではある。自宅の畳を新調するべき見積もりを聞いたら、今は、東北の復興需要でものがない、というのである。それで高いのです、ともいう。中々の商売人だわい、と思った。インフレはこうした商人の売り惜しみから起きてくる可能性もある。
 日本人の悪癖から極端に走りやすい。現実に不動産の分野では先取りの需要が出ていると、不動産業の友人が示唆した。日夜仕事仕事らしい。ホントかいな。
 建設国債引き受けと売却の操作を機敏にやれるかどうか。引き受けは簡単であるが、売却は政治家らの妨害、利権者の反対もあり得る。溢れる余剰資金を回収できないとインフレは確実に起きるだろう。白川総裁の心中はこれだろうか。強い総裁と協調性のある官僚、政治家が一体となる必要がある。
 しかし、アメリカのように金融緩和を繰り返しても、景気が浮上しない例もある。このままでは財政破綻である。どこかに大穴が空いているかのようだ。
 経済は学問ではない、と誰かが書いていた。景気の気だから気分なのである。
 今の気分は一に、二に、三に安定した雇用である。自営業には仕事があることだ。エンターテイメントには観客が押し寄せることだ。
 11/17、御園座で、48年ぶりに、生の北島三郎公演を観た。派手な演出に驚いたが、サブちゃん曰く、どんなに面白い仕掛けをしても喜んでくれるお客が居なかったら・・・と。パラパラの入りではトークも沈む。その日のさぶちゃんは、ご機嫌で、ほぼ満員の場内を見渡し、2階席にも感謝のエールを送っていた。
 11/16には、団体で来ていたある名古屋市議の招きで、片山さつき参議院議員を舞台にあげたようだ。金バッジを付けている人はもっと我々の生活を考えてくれなきゃ、などぼやきもちらっと。
 建設国債引き受けはあくまでも井戸の水を汲み上げるための呼び水である。私目には日本経済はどこも異常なし。円高不況というが円建ての輸出も多いというし、円高はメリットである。シャープやパナソニックの不振は経営規模を拡大し過ぎだ。信用、技術力、人材、資金調達力も有り余るほどある。競争に打ち勝つため、発展のための投資にはだれも反対できないから、行き詰まってしまった。正しい判断ができなかったのである。
 検診で病気を探しまくる老人にも似て、悲しい政経の現状を憂う。この間、丸善の新刊コーナーを眺めていたら、既読の堺屋太一『組織の盛衰』PHP文庫が平積みされていた。おやまあ、まだ売れているのかと思った。安定した組織を作るには成長を否定するという逆説的提案が新鮮だ。自分達に都合の良い組織にしてしまう弊害も説く。
 シャープは研究開発部門に特化するくらいの決断が必要だった。共同体から機能体化である。生産部門は外注化し、重要部品のみ供給して、組み立ててもらい、買いあげる、柔軟で、身軽な機能的な経営組織が求められる。身動きの取れないほど肥満体質になってしまったのだろう。
 書店の店頭にも世相が垣間見えると思った。

会計業務2012/11/22

 13:00~17:00まで顧問先にて執務。昨日に続き、続々到着する請求書に基づき、未払金を計上する。午前中に出張費の前渡金があり、立替の人に支払。同時に金種別に現金の残高を照合しておく。合だった。
 現金の銀行で通帳記入を済ます。月末までは断続的に入手金があるのでこまめに記帳しておく。月初に税理士事務所から返却された資産台帳に7月以来の資産を転記して行く。この仕事は税法に絡んで、煩雑な部分である。
 経理担当にとって、常に資産か経費かの判断は悩ましい問題である。後の税務調査で否認されて、加算税や追徴税を課税されてしまうこともある。この半年は、社内の改装が大幅に行われて、工事費が積みあがった。いくらかは経費で落とし、大部分を資産に計上した。