トヨタは上方修正、日産は下方修正の明暗!2012/11/07

WEB版毎日新聞から。
<日産>営業利益を下方修正 中国不買や円高響く

毎日新聞 11月6日(火)21時41分配信

 日産自動車は6日、13年3月期の連結業績予想について、本業のもうけを示す営業利益を従来予想から1250億円減の5750億円に下方修正した。
 世界販売台数の25%以上を占める中国で日本車不買の動きが広がったことや、円高による為替差損が響く。
 中国で世界の約17%を販売するホンダも先月、同営業利益予想を1000億円下方修正した一方で、中国販売比率が10%と比較的低いトヨタ自動車は500億円上方修正しており、中国市場への依存度が明暗を分ける形となった。

WEB版産経新聞から。

自動車大手6社、業績見通し 全社増収予想も中国事業で明暗
2012.11.7 07:05 (1/2ページ)

中国の新車販売が大きく落ち込んだ日産自動車の志賀俊之COO =6日、横浜市(ロイター)
 ■新規投資に慎重論噴出

 自動車大手6社の平成25年3月期業績見通しが6日、出そろった。エコカー補助金の恩恵に加え、東日本大震災、タイ洪水の影響で大幅な減産を余儀なくされた前年の反動で生産を大きく伸ばしていたところに沖縄県・尖閣諸島の国有化への反発で不買運動に直面。日産自動車、トヨタ自動車、ホンダなどは当初計画に比べ10万台を超える販売減の見通しを立てるなど先行きに暗雲が立ちこめている。日産やトヨタからは中国への新規投資に慎重な姿勢を示す声も出始めた。

 ▼日産「影響600億円」

 日産は同日、尖閣問題のあおりで、中国での年末までの販売が計画に比べ17万5千台減少するとして、通期の業績見通しを従来予想に比べ、売上高で4850億円、営業利益で1250億円、最終利益を800億円下方修正した。

 会見した志賀俊之最高執行責任者(COO)は、中国での影響について、「従来予想からの営業減益のうち600億円は中国の影響」と発言。今後の事業展開に対して「日中関係の行方を注視し今後の新規投資は慎重にみる」とした。

 一方、トヨタも来年3月までの中国での販売が20万台減少すると判断。原材料価格の下落やコスト削減などが寄与し、営業利益を同500億円増の1兆500億円とするなど上方修正したが小沢哲副社長は「中国の販売減少は最終利益で300億円の減益インパクトがある」と影響を口にする。今後については「決まっている事業は粛々と進めるが、それ以降についてはコメントを差し控える」(小沢副社長)と明言を避けた。

引用は以上
・トヨタ、日産は今後様子を見て、投資を見直すと言い、トヨタは粛々と中国事業を進めると発言。
・自動車産業は裾野の広い事業だけに中国経済に大きな影響を持つ。かつて石田退三は自動車は販売後もアフターサービスがあって、厄介な事業とこぼしたことがあった。修理部品、補給部品のサプライもある。簡単には撤退できない。
・トヨタは中国進出に当たって、現地の技能者養成にも力を入れている。車作りの前にまずは人材と悟っている。工場での品質維持のためには有能な現場要員が欠かせない。
・単純にコストダウンの目的だけで進出するのではなく、社会に根を下ろす覚悟が要る。
・過大投資は失敗を招く。住友化学、イオン、パナソニック、シャープなどの優良企業が軒並み不振に陥るのは中国における過大投資(兵站が伸びきった状態)と見られる。
・トヨタは社会の成熟度を鑑みながら成長する方針なのではないか。兵站が伸びきることを恐れている,とも言える。

おさらいをすると世界販売に占める中国事業の各社比率は
トヨタ10%  2011年は88万3400台    4.4%アップ
日産25%  2011年は124万7700台   21.9%アップ
ホンダ17% 2011年は61万7764台    4.5%ダウン

 どの台数でも中小規模のメーカー並みである。うまくいけば利益をもたらすが、躓けば、赤字を垂れ流す。これからは中国の時代と読んで、集中投資すれば、痛い目にあう。身の丈にあった投資の範囲でやることが一番である。その点、スズキはアメリカからの撤退と報じられたが、鈴木社長らしい決断だ。自ら中小企業の親父感覚で、小回りを利かせている。
 儲けの計算よりも判断が大切。

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